第49話 裁判所で鉄槌を
古い話を時々更新してますが、基本的に誤字脱字の対応です
がやがやと、人々の声がホール内へ反響する
「静粛に、ヒビキ キョウヤに判決を言い渡す」
カンカン
裁判長の声に、傍聴人達が静まり返る
「被告人の罪状は魔王を生み出し、国家転覆を図ったものである・・・その罪は重く、今後二度とこの様な企みを起こさせてはならない戒めを込め・・・」
「異議ありぃ!」
今まさに裁かれそうになっている当人---響 凶夜は自身の潔白を証明するため声を上げる、が
「異議は認めん」
銀髪の魔女と異名を持つ、裁判長 ライム・クリストファーに一蹴される
だが、本当に無実なのだ、ここで引き下がる訳にはいかない
ていうか、それって犯人はアプリだし
「おいぃぃぃ、それ俺じゃないから!人違いだから!お願いだから話聞いて、ギザジュウあげるから!」
ポケットに入っていた、茶色い硬貨を出す、日本だったらちょっとレアなアレだ
「ギザ? 貴様、裁判長を買収しようというのか・・・しかもそれは硬貨偽造ではないか!」
「違う、違うんだ! そう、気持ち・・・これは俺の気持ちだっ」
必死に思いを伝えるべく、声を張り上げる
そもそも、このままだと更に罪が増えてしまう、身から出た錆びだが、凶夜は諦めるわけには行かない
「・・・死刑」
「ちょっと待ってぇぇぇぇええええ」
バーン、と扉が開く音がして屈強な男二人が、左右から凶夜を羽交い絞めにして運び出していく
ざわざわ、やっぱり・・・
とんでもない奴だ・・・
ひえっ
と、傍聴人が沸きあがり、裁判は幕を閉じようとしていた
「どうしてこんな事に・・・」
ミールとクラリは弁護席で唯それを見ている事しか出来なかった
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数時間前
「ここか・・・なんかギルドとか村長の家よりも立派じゃねぇか?」
凶夜達は、呼び出しを受けて裁判所までやって来ていた
「ここが受付みたいだね」
入り口らしき場所には、頭を丸めた屈強な男が看板を持って立っていた
看板には’歓迎、凶夜様一行’と書いてある
あやしい・・・ていうか、絶対関係者じゃない・・・
「あ、あの人ですね! 歓迎って書いてあるし絶対そうですよっ」
ふらふらと、吸い寄せられるように褐色のマッチョの方へと歩いていく
「あっ、おい やめろ 絶対違うからっ」
「でも、なんか普通に話してるぽいんだよ」
たしかに、クラリと褐色マッチョは和やかに話している様に見える
人は見かけで判断してはいけない
そうだった、アプリで懲りたじゃないか、俺は心が汚れていたんだな・・・
「よし、話を聞こうじゃないか」
ミールと共に、マッチョの所へ歩いていく
「オー、ミナサマ オマチ シテオリマシタ」
・・・本当に大丈夫か?
「あ、凶夜さん この方 この裁判所の支配人なんですって! なんでも私達にアプリさんを確保した功績を称えて、報奨金をくださるそうですよ」
「え、それって」
「で、いかほど頂けるんですかね? いや、まぁ あの!アプリを捕まえたんですから、それなりには・・・ね?」
ミールが何か言う前に、凶夜が割って入り、催促する形で支配人へ話しかける
「オー、ワカッテマース スバラシイ コチラヘドーゾ」
「絶対怪しいんだよ」
「何を言ってるんだ、支配人様に失礼だろう」
「そうですよ、マッチョに悪い人はいません!」
それは同意しかねるが
「ハヤクハヤク コチラデース」
入り口を通過した際に、警備らしき人へ支配人が挨拶をする
すんなりと、入れた所をみると、あながち嘘ではないのかもしれない
案内についていき、通路の角へと差し掛かる
「サァ、ココハ ミギニマガリマース」
「フンッ」
角を曲がった所で、丸太のような太い腕が凶夜のボディへと吸い込まれる様に打ち込まれる
「ぬはぁっ」
「フンンッ」
「ぎゃぁ」
「フフフンンッッ」
「なんで僕だけ全力なんだっ・・・うくっ・・・よ」
ガクッ と崩れ落ちる
「チョットドリームミテモライマース」
・・・マース・・・マース
と、そこで凶夜達の意識は途絶えた




