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第39話 魔王候補って一体なんなんだよ

「だめだめだめぇぇぇぇ、そんなのじゃだめですわよぉ」


アプリの指先から連続で放たれた光は、真っ直ぐにスロットマシンへ吸い込まれ、爆音と共に消滅していく


「うおおお、お前っ!スロットマシンがあんだから、普通に魔法打っても無駄なの分かってるだろーが!心臓にわりーんだよっ」


「ふふふ・・・私ぃ、じわじわ殺るのが好きなんですのぉ」


アプリは口元に人差し指を当て、それと と付け加える


「嫌がらせも大好きですのよぉ」


スロットマシンの(かげ)に隠れているせいでアプリの姿は見れないが、恐らく自身を抱いて身悶えているのだろう

はぁー、愛ですわぁとか聞こえるし


「変態でサディストとか、かんっぺきに終わってんなっ」


どうしようもないこの状況に毒づく凶夜


それにしても、何でスロットマシンの魔法が発動しないんだ?

さっきの戦闘ではちゃんと使えていたんだ、何か条件でもあるのか・・・




---違和感

塔に連れてこられてからの戦いを思い返す

アプリには何回試しても、一度も魔法が発動しなかった

スロットマシン自体を投げて回避されるのはともかくとして・・・

だが、けしかけられた部下の男にはすんなり発動したんだが・・・




・・・アプリにだけ?




そうだ、アプリの部下には発動したんだ

今までだって、発動しなかった事なんて無かったじゃないか


とすれば・・・試してみる価値はあるか


「スロット!」


「あらぁ、またですの、そろそろ無駄なのを分かってはどおかしらぁ、あぁ、もうすぐですわぁ、もうすぐキョウヤ様が愛の信徒にぃぃぃぃぃ」


ガリガリガリガリと頭を掻く


「勝手に言ってろっ、俺の考えが正しければ・・・」


対象をアプリでは無く、自身に限定


くるくる と回るバレルを見据え、ボタンを止めていく


そして、最後のボタンを弾く様に叩くと


・・・タンッ


「やっぱりな、さぁショータイムだ、変身!」


「は?」


凶夜の姿が光に包まれ、何時ぞやの路地裏で見た、全身が琥珀色のライダースーツが現れる



「・・・気が付きましたのね」



さっきまで、けらけらと笑っていたアプリの表情がスッと無表情になる


「考えて見れば可笑しな話だ、アプリ、お前にはスロットマシンの魔法が発動しない・・・正直 理屈は分からないが、それが事実だ。

つーか、お前わざとやってんだろ? お前が俺を本気でどうにかしようとしてたんなら、この事実に辿り着く前に俺はとっくにお前に殺されているはずだ」


そう、炎属性の敵に炎の魔法は効かない、ゲームではよくある話だ

スロットマシンから出る魔法に属性なんて無いと思い込んでいたからな・・・思いもよらなかったが、これくらいしか考えられない、こんな単純な事に気がつかないなんて情けねぇ・・・


スロットが使えない俺なんて、唯の一般人と同じだからな、アプリからしてみれば牢屋の時点で、どーとでも出来たはずだし


「いいですわぁああ、よぉぉぉぉくお気づきになられましたわぁああ、流石キョウヤ様ぁし、しぃびれますわぁぁぁぁ」


髪を振り乱しながら絶叫する


「けれど私がキョウヤ様をどうにかできるなんて、買いかぶりすぎですわぁ、あぁ・・・たしかにぃ、気づかせてあげたのはわざと・・・わざとですわねぇ 言ったじゃないですかぁ? 私、嫌がらせも・・・大好きですのよぉ?」


ぜぇぜぇ、と肩で息をしながら、首だけを動かし、凶夜へ振り向く


眼を見開き「それにぃ」と言葉を続ける


「理屈は分かっておりますのよぉ? 貴方、キョウヤ様はぁ・・・魔王 いぇ、その候補なんですわよねぇ?」



・・・!?



「何故? というお顔をなさって・・・ひっじょーに分かり安いですわぁあああ、あぁ今日はなんてっ素晴らしい日ぃなんでしょぉおぉ」


やはりやはりやはりぃぃぃと、頭を掻きながら地団駄を踏む


なんで、こいつがその事を知っている? たしかにギルドで発行した証明書にはそんな物騒な事が書かれていたが

あれは、誰にも・・・そうミールにもクラリにもギルド職員にだって見せていないはずだ


「なぜなぜなぜぇえ?? ええ・・・実は、私も候補なのですわぁ、最もーーー」


興味は無いですけれども


と、自分は魔王になるのでは無く、作る事に命を捧げていると、アプリはそう言い放った

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