第33話 目論見なんて碌なもんじゃない
「さぁ・・・キョウヤ様を」
アプリのその声を皮切りに、伏せていた男が立ち上がり牢獄の鍵を開ける
喜ぶべきなんだろうが、この状況だとそうも言えないな
どうする、ハッキリ言って何がなんだか全く分からん
もう少し様子を見るか? アプリの目的も不明だし・・・
ガチャリと牢獄の鍵が開き、アプリが手を差し出す
「さぁ、キョウヤ様、私と共に参りましょう」
凶夜はその手を掴む
毒を食らわば皿までってな・・・どっちにしろ教団を探るには避けて通れない道っぽいしな
死にイベントじゃない事を祈るわ
アプリはその手を強く握り
「ぐっ・・・」
「キョウヤ様・・・教団について知りたいのでしょう? 聞き回っているって有名ですのよ?」
と、ニタァと笑みを浮かべた
「あ、そうなの? そいつぁまいったな・・・」
やばいわ、これピンチなんじゃね?
「でも、大丈夫、私の愛は真実の愛ですの、ちゃぁんと教えて差し上げますわぁ ちゃーんとね。 おい」
アプリの指示によって、男は何やらブツブツと唱え、地面に魔方陣らしきものが展開される
「さぁ、キョウヤ様 こちらへ」
言われるがままに魔方陣に乗る
「なぁ、これ俺どーなっちゃうの? 痛いのはやめてね、あとここ何処か教えて貰っていい?」
「そうですねぇ、この牢獄は村の地下にあたるんですが、行き先は・・・ふふ、まぁ見ていれば分かりますわぁ」
地下に牢獄? 一体何のために、いや犯罪者くらいいるか
うん、だったら必要か・・・でも見る限り俺以外は牢に入っている奴はいない様に見えるんだが
「・・・あれ?痛いのは?答えてなくね?」
「一瞬ですわぁ」
「何それ怖っ、俺 一瞬でどーなっちゃうの!?」
なんかもう、アプリが言うと、全部不安なんだが・・・
「あら、どうかしましたか? 私の愛を信じられない・・・のですか? 愛を愛にぃ・・・キョウヤ様ぁ?」
「い、いや・・・めっちゃ信じてるよ!」
「・・・なら、いいですわぁ、さぁ」
やべぇ、何処で爆発するか分からないからな、あまり逆なでしないほうがいいな・・・
魔方陣の上に立ち、男がまたブツブツと何かを唱える
村の中で魔法はご法度とか、あって無い様なもんだな、とふっと思い出す
体が光に包まれ、気がつくと、レンガ造りの広い広場に出た
ん、なんだ・・・ここは、何処だ
窓から外が見える、結構高いな・・・
塔なのか?
つうか気持ちわりぃ、頭痛てぇ・・・これがあれかよくある召喚酔いってやつか
そりゃ、こんな状態で戦闘は出来ないわな、1ターンくらい動けないわ、あれ何の話だっけ?
「キョウヤ様、どうかなさいました?」
「うぉっ、あ、いや」
「うぉ? キョウヤ様・・・、愛を愛にお忘れですか?」
「あ、いや、全然意味わかんないけど、違うんだちょっと酔っただけで・・・」
アプリが、こちらを真顔で見ていて、はっきりいって怖い
もうなんなんだ、早く助けてくれ!誰でもいいから!
「まぁ、いいですわ、こちらへ」
アプリに言われるまま、奥にある扉へ案内される
男が扉を開き、奥へと通されるが
「なんだこれ・・・」
そこには、大量の何かの骨と、その骨の丁度中心、部屋の真ん中に当たる部分に
大きな棺桶が置かれていた
全然まったく見てもなんもわかんねーじゃねぇか!
・・・とは、言えないよな
さて、何があるかわかんねぇし、スロットを使う気構えくらいはしておかないとな
アプリはするすると棺桶の前まで歩を進め、そして
「さぁ、キョウヤ様、やっと私の愛を、愛の信徒になってくださいねぇ そう、愛の魔王にぃぃぃぃ」
ぐるりと、顔だけをキョウヤへ向き、両手を広げ、絶叫した




