第25話 教団との遭遇は突然に
「と、歯ごたえも手応えもまるっきし、なーんもなかったなぁ」
凶夜は、兄貴同様に壁に叩きつけられ、地べたにへばりつくように倒れているチンピラ弟？を見て、ため息まじりに呟いた
流石に鉄パイプアタックと称してチンピラへ殴りかかった時は、我ながらヤバい絵面だなとは思ったが
「あ、そーだった」
思い出した様に、襲われていた女性の元へ向かうが
「あ、あなた様は一体・・・そのお姿はまるで・・・っ」
さっきは遠目でよく見えなかったが、中々の美少女だ、ショートの金髪に蒼い瞳、ハリウッド映画等に出ている女優さながらの美貌とでも言えば伝わるだろうか、年は・・・20歳くらいだろうか？ 俺よりは若そうだ、ただ俺と違って言葉使いも丁寧だし、どことなく気品のある白いローブを身につけていることからも良い家柄だと思われる
全体的に、うちのバカ共とは比べ物にならない感じだ
「あ、あの」
「ああ、悪い悪い、あー怪我はないか？」
「は、はい・・・助けて頂いてなんとお礼を言ったらよいのか」
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やっべぇぇええ、沈黙がつれぇええ
こんなところで童貞の弊害がっ、一体こう言う時 何を話していいのか分からん
つーか、異世界に来て初めてTHE・美少女ってのに会った気がするぞ
ファンタジーなのに、意外に美少女っていないなぁって思ってたくらいだし
ん？
ふと、女性の胸に目がいく
しかも巨乳ときたか・・・紋章？
「なぁ？ そのローブってもしかして」
確か、昨日商店のおっちゃんから聞いた話だと、教団の人間は揃ってドラゴンの頭を模した紋章を入れたローブを着ているって
「はい、申し遅れました、私はシャトー教団の者です、それよりもそのお姿は一体・・・」
姿？ ああ、まだ変身したままだったか
えぇと、どうやって戻ればいいんだっけ
はっ、戻り方わかんねーぞ
「どうしたのですか？」
「い、いや ちょっと訳あって、これは脱げねーんだわ」
「そうなのですか？」
「ああ、まぁ今日中には脱げるとは思うが」
「なるほど、では夜にお食事でもいかがでしょう？ お礼もしたいですし・・・」
うぉおおおお！
まじか、こんな美少女が、俺を？
いや、これは都合がいいんじゃないか？
違うよ？これは決して下心だけじゃない
教団の人間なら色々聞けるだろうし、一応恩人になる訳だし、深い話も出来るだろう
よっしゃ、リア充に俺はなる！
「ああ、なんか悪いな、俺は大丈夫だが・・・」
「まぁ！ それなら夕刻に村の酒場でお待ちしております、 私 アプリコット・ミレーヌと申します」
「俺は響 凶夜だ」
「キョウヤ様・・・よいお名前ですね、では夕刻に」
「気を付けてな、もう路地裏は通るなよ」
「はい、有難うございます」
ミレーヌはそう言うとそのまま通りの方へと消えていった
「よっしゃああああああ！ 春だ春将軍が来たぞぉぉぉおおお」
その後、裏路地に居たチンピラ共は、テンションの上がった凶夜に全員ぶちのめされたそうな
少しして、裏路地には白い化物出ると噂になったとかならないとか
ちなみに変身は、チンピラをボコるのに飽きて、ふと我に帰った時に、俺なにやってんだろ・・・死にたいと思ったら解けた
