第22話 調査中ってほんとかよ?
「私が聞いたのもミールさんと似た様な話だったんですけど、一つだけ違う点がありました」
クラリが真剣な面持ちで続ける
てか、こいつちゃんと情報集めてたんだな・・・ずっとオセロやってたと思ったんだが
あ、でも初日はいなかったからそん時か
「それは私がいつもの様にいきつけの魔眼ショップに行った時の事です」
「魔眼ショップ?」
なんだそりゃ
俺の疑問を他所にクラリは自信満々に
「そう!魔眼を愛する者!マガニストによるマガニストのためのショップ!眼帯からマントまで幅広に取り揃えてるんですよ! あぁ、この話を聞いた時も新作の眼帯を見に行った時でした、くぅっーーーしかし、ローブも欲しいんですよね、燃えるような真っ赤なヤツか、まるで闇夜に溶けるが如く黒いのが・・・」
「てか、お前それただ単に買い物に行っただけじゃ・・・」
「ギクゥ」
クラリは、ギギギとぎこちない動きで俺から視線を顔ごと逸らす
「ギクゥ、じゃねーよ! バレバレ過ぎるわ!」
つーか、なんだその動き、漫画か
「いやっ、でもですね、ちゃんと情報も集めるつもりでしたし! 彼処には生粋のマガニスト達が・・・」
うわぁ、絶対嘘だわ
さっきから目を合わせようとしないのがいい証拠だ
どうせ情報てのも、偶々(たまたま)聞いたレベルの話だろう
大丈夫、初めから期待していないし
「あ、なんですかその目はぁ! 今失礼な事考えてますよね!」
ちっ、微妙に感が良いのが若干ムカつくな
「わーった、わーったから」
このまま放っておくと、言い訳とマガニストとやらの話で1日終わってしまうからな
これ以上産廃スキルの話は聞きたくないので話を戻させ様とする、が
つい
「でも、なんであんな産廃スキルにそんな愛好者がいるんだろーな」
と
我ながら余計な一言を言ってしまった
言った後に気が付き後悔したが、後悔先に立たずである・・・
「キョーヤ・・・」
ミールもクラリがこのネタに食いつくのは読めたのだろう、非難を含めた声をあげる
「ふふんっ、凶夜さん・・・魔眼が相手の強さを知るだけのスキルだと思ってるんでしょうが、それはっ!大きなっ!間違いです!! それはもう秘められた力が、漆黒の闇が光で搔き消えるくらいのインパクトがあるスキルなんですよ!」
「はぁ?厨二病もいい加減にしろよな、現にお前はたいして使えてねーじゃねぇか」
まったく、何を言うかと思えば
魔眼が産廃スキルなのは身をもってクラリがドゥムドゥム戦で証明している
「僕もそんな話聞いたことないなぁ」
と、ミール
「本当なんですってぇ!信じてくださいよぅ、魔眼の魔王の話くらい知っているでしょう? あの魔王の魔眼は目を合わせた相手を意のままに操る事が出来るとか、見たものを燃やす事が出来るとか、不死だったとか、色々な逸話があって・・・マガニストの間では神聖な存在なんですよぅ・・・」
しくしくよよよと、ミールにまで知らないと言われたのが余程ショックだったのかクラリは机に蹲ってしまった
にしても魔王を神聖て
それ大丈夫なのか?異端審問とかで裁かれそうなセリフなんだが
「あぁ、僕もそれなら聞いた事あるかも・・・この世界の魔王の1人だよね、でも数百年前の話だし、お伽話みたいなものだよ。 それに今の魔王は魔眼を使うなんて聞いた無いから、真偽は確かめよう無いし・・・」
「なぁ、魔王ってのは世代交代なのか?」
「ううん、歴史の中でも複数の魔王が存在した事もあったみたいだよ、ただ居ても自分から名乗り出ないと人々には認識されないでしょ?だから身を隠した魔王は今も生きているかもしれないけど・・・」
「ふーん」
そりゃそうだよな、自分から名乗り出なけりゃ魔王だとは分からないし、そういや俺もステータスに魔王候補とか書いてあったなぁ
なる気も無いし、あれの所為で行動が制限されていい迷惑だ
にしても、魔眼魔王ね・・・俺からしてみればその話の方が魔眼のイメージとしてしっくりくる、ドラゴンの時もそうだったけど、魔眼を使う魔物は俺が昔やったゲームにも居たんだよなー、やっぱりそいつも相手を石化させたり燃やしたりしていたはずだし
この世界がある程度ゲームと同じと仮定するなら本来魔眼は強スキルのはずなんだ
「なぁ、人間で魔眼を攻撃に使える奴ってのは今までいなかったのか? その相手を操ったりとか」
「・・・凶夜さん、ついに魔眼の素晴らしさに気がつきましたか、・・・でも残念ながら今までそういった話は聞いた事がありません」
しょぼんと
一瞬、元気を取り戻したが直ぐに俯いてしまった、まったく忙しい奴だ
にしても、何か条件でもあるのだろうか?
特殊スキルの開放条件とかは大体レベル依存だったり、ある魔物を倒したり、転職したりした時と相場が決まっているんだが
でも、そんな条件なら今までに人間から覚醒した奴が出てもおかしくないしなぁ、それも無いって事は魔物しか扱えないスキルの可能性もある、か
「まぁ、これは考えてもしゃーないしな、でお前の持ってきた情報ってのは結局なんなんだよ」
「あ、それですね!実は・・・あれ」
クラリがうーんうーんと頭を捻る
ととと、と部屋をくるくる回り始めた
お前は犬か
てか、このリアクションはもしや
「あ、ダメですね、忘れました」
こいつは・・・
「うがぁぁぁぁぁぁーーー」
ガシャーン、バキィィィ
「キョーヤ!?」「凶夜さん!?」
辺りに机が弾け飛んだ音が響いた




