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5.ヒロインと再会しました

全焼したアパートを見て、現実逃避をする私たちの中で一番早く意識を取り戻したのは、岩渕でした。

意識を飛ばしている私を岩渕が、私の後頭部を叩いて意識を現実に戻します。

年々、岩渕の私に対する扱いが雑になっているのですが、きっと気のせいではありません。一応、『お嬢様』なのですが...

「後頭部が禿げたら、どうするんですか」

「お嬢様、その程度で後頭部は禿げません」

「それはともかく、彼女と彼女の妹の家具などの必要物資を購入して、私の家に置いといて下さい」

「かしこまりました」

「帰りは電車やバスを使えばいいので、今すくお願いします」

「しかし、お嬢様」

「私なら、大丈夫です」

「わかりました。それでは」


あれから数十分たってから、美月さんは意識がこちらに戻って来ました。

「あぁ―――、私のお城が―――!」

そう言って、泣き崩れてしまいました。

彼女の稼ぎならもう少しいい場所に住めるのですが、妹に言い学校に行かせたいがために、格安のアパートに住んでるんですよね。

私は美月さんの肩を叩いて、

「あのー、美月さん」

「攻略対象にとっての悪役の理沙ちゃん、なに?」

「枕詞が長いですよ。住む所なら、私のとこに来れば問題ないですし家賃もいりませんよ」

「いいの!?」

「いいというより、この事件の黒幕を思い出して下さい」

そう言って、私は遠い目をした。いえ、するしかなかったのです。

「あぁ、そうよね」

被害者である美月さんも私の言いたいことが分かったようで、何とも言えない同情した目で私を見てきます。被害者なのに...

そこに現れる、一人の天使。

「お姉ちゃん!」

「柚月」

「これから、どうすればいいの!? さっき、アパートが火事に遭ったって学校で先生に言われたんだけど、まさかここまで酷いだなんて!」

「大丈夫よ、柚月。その問題なら、さっき解決したわ」

「本当!?」

「えぇ。こちらにいる桜ノ宮理沙さんの家に住んでもいいって言われたの」

柚月さんは私を見て、 考えるようにして言いました。

「.........もしかして、小さい頃にあの公園で一緒に遊んでいた理沙ちゃん?」

「はい、そうです」

「久しぶりー! でも、いいの?」

「部屋なら、余っていますから。それに、最低限の物は揃っていますよ。後日、足りない物はカードを渡しますのでそれで買ってきてください」

「それくらいなら、大丈夫よ。住む所だけで十分だわ。そこまでお世話になれないもの」

「私としては、いいんですけどね」


マンション内の私の家の中に入りました。

「ここが、私の家です。といっても、このマンション自体が私の所有物件なんですけどね」

「ここ、今話題のデザイナーズマンションじゃないの! それも、最上階! 無駄に広いわ」

「すごいね!」

「一階は、共有施設なので好きに使って下さい」

そうしていると、慶少年が玄関の前まで来ていました。

「お帰り、理沙。そいつらは?」

「佐藤美月さんと柚月さんです。姉の方が美月さんで、妹の方が柚月さん。こちらが、館花慶さん」

「で?」

慶少年は、ご機嫌斜めのようです。困りましたね。

「慶少年、もう少し友好的な態度をしてください。柚月さんが怖がっているじゃないですか」

「そうね。初対面で、その態度はないわよね」

「話を元に戻しますね。『とある馬鹿たち』が原因で、彼女たちの住むところが火事になって全焼したんですよ。それで、今日からここで暮らすと」

「そいつら、信用できんの?」

「もちろんです。それに決定事項なので、慶少年に拒否権はありません。だって、ここの家主は私ですから」

「笑顔で言い切ってるよ、コイツ...」

「事前に言うと反対しそうなので、敢えて言いませんでした」

「どうりで、岩渕さんが部屋に新しい家具とか入れてたわけだ」

私は柚月さんと美月さんの方に向き指差して、

「柚月さん、美月さん、向こうに部屋がありますので好きに使って下さい」

「分かったわ。行きましょ、柚月」

「...うん」


「慶少年、事前に言わなかったのは悪かったです。ごめんなさい。ですが、彼女、柚月さんですがアイツらに狙われているので下手なところに住まわすより、ここにいた方がセキュリティの面からも安全なんですよ」

「姉の方は?」

「美月さんの方は、容姿的に狙われませんね。それに、どちらが言いくるめて思い通りにできるのかは一目瞭然でしょう」

「それもそうだな」

「質問はナシで。まだ、確認中のことが多いんですよ」

「そうか。分かった」



柚月さんと美月さんの部屋の確認が終わった頃に、夕食を取りました。

足りない分は、今度の休みに買いに行くそうです。

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