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4.ヒロインのお姉さんに接触します

【注意】不快な表現があります。ご了承ください。

慶少年と話し合った結果、マンションの一室は私と一緒に住むことになりました。

はじめは、慶少年一人で一室ということだったのですが、何でも一人になるとイヤな方向に物事を考えて、それが嫌になったらしいです。


そろそろ、ヒロインのお姉さん佐藤美月さんに接触をしないといけません。

正直なところ、ヒロインの柚月さんは超絶級の美少女。

居候している親類の家で父子に迫られ、いつ再び妹がその父子に襲われるか不安になった美月さんが、高校卒業と同時に妹を連れてその家を出ました。

そして、美月さんはキャバクラに勤めることになったのです。

現在、美月さんは勤めているキャバクラで人気No.1です。

この自称・女性向けゲームのすごいところは、子どもが会社を乗っ取れたり、ヒロインの姉がどこかのご都合主義ドラマのように簡単にキャバクラで人気No.1の地位を持てるところです。

それをしている本人たちには、簡単にしているわけではないですけどね。


ここで、岩渕から不審な報告がありました。

弟がここ数カ月、月二十五万までの出費に抑えているというのです。

弟は、海里という名前で乙女ゲームの攻略対象。

顔だけが取り柄の傲慢なお子様です。

寄ってくるのは、家柄だけが目当てのお嬢様。

家柄がよくても、まともな両親がいるお嬢様にはまったく相手にされていません。

現実と乙女ゲームでは齟齬が出るのが当たり前なので、実家にいる私の手駒と興信所を使って、弟の動向を探らせます。

そして、集まった情報を精査している間に潰す予定だったイベントが思った以上に早く起きてしまったのです。

岩渕が探りを入れて分かったことなのですが、弟の初恋に興味を持った父が、弟に初恋の相手を追求した結果、自分が手に入れたかった女性と瓜二つの女性の娘だと知り、その娘を自分と弟(叔父のことです)と共有するなら手を貸すと言ったのです。正確には、共有させるように弟を脅した。

そのことが原因で、『ヒロインの姉の勤め先のキャバクラが火災に遭った』というイベントが私が知るより早く発生したのです。

もちろん、手は打ってますけど。あとは、説得のみですね。

ちなみに、弟が散在するはずのお金を我慢してためたお金でどこかのならず者を雇っての放火です。

弟は、父と叔父がならず者を雇うお金を出さなかったことに大いに不満を持ったそうです。

いつもは、父と叔父に「大スキー」と言って懐いている弟が。


私は、ヒロインの姉の勤め先のキャバクラの跡地に岩渕と向かいました。

キャバクラ跡地に着くと、放心状態の店長らしき人と従業員らしき人たちがいました。

ヒロインの姉の美月さんが私を見つけると、

「あなた、」

私は美月さんが言っているのを遮り、

「そこの膝をついてショックを受けている人、この書類にサインを」

店長らしき人は私を怪訝に見上げました。

「お嬢様!」

私の態度を咎めるように岩渕が言いました。

もちろん私は、意識をこちらに向けさせるためにあえて無神経な言い方をしましたけどね。

「とりあえず、岩渕。あとは説明してちょうだい」

「わかりました」


岩渕の説明に店長らしき人は戸惑った様子ですけど、こちらの申し出を受けてもらえることになりました。

店長らしき人に感謝のまなざしで見られているのですが、私は思いっきり目を逸らしています。

放火犯の黒幕を身内を持つ身としては、感謝されると良心にナイフがグサグサと突き刺さり、罪悪感が半端ないほど襲ってきます。汗が滝のように流れ、背中が冷え込んでくる感じがします。

岩渕も、そんな店長らしき人の感謝の目を逸らしています。

こちらの申し出というのは、今ある場所より立地条件のいいところで再出発のための建物をそちらの名義にして譲るというものです。

無償だと相手側が納得しなかったので、利子無しでかかった費用をこちらに返すというもの。

岩渕が店長らしき人に説明している間に、私は美月さんと現状について話しました。

どうやら、私がさっき遮ったことで転生者だと気付いたようです。当り前ですが。



私と岩渕が、美月さんがを自宅であるアパートに送ると、そのアパートが全焼していました。

私と岩渕は唖然とし、美月さんはショックで乾いた笑いをしかできないです。

どんだけゲスやねん、父と叔父と弟は!

ゲームでは、ここまでしなかったでしょ!

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