ヒロインのお部屋は……
アニーのお部屋へ到着。
さあ、ヒロインのお部屋へお宅訪問なのですよ!
あれから「続きはお部屋でゆっくり話しましょう」と言われ寮まで戻ってきました。
間取りは寮なのでわかってますが、やはり個人の趣味でお部屋は違いが出るものなのです。
アニーのお部屋はどんなでしょうか。
楽しみなのです。
キラキラ華美な感じ?
それともカントリー風?
白のレースがヒラヒラしてる清楚なのも似合いそうです。
それとも意外にピンクとリボンでかわいいテイストにしてたり?
んんー!
わくわくするのです~。
「さあ、どうぞ」
そう促され、わたしはアニーのお部屋へ足を踏み入れました。
?
まず目に入ったのは、奥にでんと鎮座している立派で重厚な机。
??
次に目に入ったのはその前にある応接テーブルと革張りソファ。
???
顔を横に向けると、これまた立派な書棚。
その書棚には持ったら腕が抜けそうなほど重いであろうと想像が容易につくような本本本……、とファイルが並んでいる。
????
反対側に顔を向ければ紙やインクやペンや、いわゆる事務仕事に必要な雑貨が置いてある棚があるだけ。
?????
なんか、どっかで見たことあるような……。
置いてあるものみんな黒くて重厚で使い勝手を優先させたような……。
おお、そうなのです。
これは。
ニールの執務室にそっくりなのですよ。
「エレナ? どうかしたの? 遠慮せずに入って」
そうアニーに声をかけられて、思わずかたまっていたわたしは、はっとしました。
「あ、あの、アニー? この部屋って、どこの事務室なのですか?」
「事務室? わたしの私室だけど」
ふ?
私室??
これがですか???
「ああ、ごめんなさい。ちょっとさっきまで書類をチェックしていたから少し散らかっているかしら」
「い。いえ? そんなことはまったくないのです」
というより、わたしの部屋よりはるかに片付いているですよ。
問題はそこではなく、そこでは。
あう、ヒロインは質実剛健がモットーなのでしょうか。
「ああ、食べるもの用意するのでそこのソファにでも座って待っていてくれるかしら?」
「は、はい。ありがとなのです。あ、そうだ。アニー、ちょっと寝室も見せてもらってもいいですか? あ、でも、ドアのところから覗くだけ。絶対に中に入ったり勝手にさわったりしないですから……!」
「? 別にかまわないけれど」
そう言って少し不思議そうな顔をしてアニーは了解をくれました。
許可をもらったわたしは、さすがに寝室くらいは、という思いでその扉を開けたのです。
「………………………………」
それは。
一言で言いあらわすと。
まさに。
「…………清貧?」
アニーの寝室には、質素なベッドが一つ、あるだけなのでした。
エレナさんカルチャーショック中。




