浮かれて飛び出てババババーンッ! なのですよ
久々のエレナさん。
シリアス展開も覆す、阿呆さ全開のしゃべりっぷりです。
やっと会えた。
やっと会えたのですよ。
わたしのヒロインに。
いえ、わたしだけではなくみんなのヒロイン。
スーパービュリホーパーッフェクツッ! ヒロインなのですよ!
ヒロインのお名前はアニーというのですね。
長年謎だった名前がわかって、スッキリなのです。
そしてわたしはやっとマイヒロインに出会えた感激で、思わずアニーに抱きついてしまったのですよ。
そして、会いたかった、と訴えた後で、わたしはあわあわしてしまったです。
はうっ!
よく考えたら、アニーから見たわたしは初対面で抱きつく変な女ではないですか!
会いたかった、ってなんでって聞かれたらなんて答えるですか!
え? 前世のゲームで?
オーノー! それは単に頭のおかしい奴じゃないですか!
あうあう。
わたしこの後、いったいどーすれば!
と、内心あわあわしていたら、ぎゅっとアニーに抱き返されました。
はっ!
こ、これは。
ハグはオッケーということなのですね!
で、あれば、よし!
安心したわたしは、ぎゅっと力いっぱいアニーに抱きつきます。
はにゃー。
やっぱりヒロインは違いますなー。
ダントツの安心感なのです。
頬に触れる髪がサラサラなのですよ。
なんだかいい匂いもするですよ。
さすが、わたしのヒロインなのですよ!
うにゅー。
いいなー。
いい感じなのですなー。
うー、なんだか眠くなってきたのです。
ぐぎゅ…。
ん? ぐぎゅ?
ぐぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ――――――――――――!
はうわー!
腹の奴が寝る前には飯を食えと主張してきやがったのです!
別の意味で、はわはわしだした私に、アニーの「っふ!」と笑いを堪える声が聞こえました。
恥ずかしさを堪え、顔を上げると、そこには女神のような微笑みを浮かべたアニーの顔がありました。
「……おなか、すいたの?」
そう問われ、わたしは悄然と頷きました。
「はいです」
アニーは少しわたしから離れると、笑顔のまま素敵なお誘い文句をくれました。
「じゃあ、これから一緒にお食事でもどうかしら? わたしのお部屋にこない? そこで食べながら、たくさんお話ししましょう? よければそのまま泊まっていってもかまわないし。ね、エレナ?」
ヒロインとごはん!
ヒロインとおしゃべり!
ヒロインとパジャマパーティー!?
「よろこんで! なのです!」
わたしは興奮に倒れそうになりながら、なんとかそれを堪えて大きく頷きました。
ぐりゅっ!
……ついでにわたしの腹の奴も同意しやがりましたですよ。
浮かれて飛び出たのは腹の音、てことで。




