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アニー・カーティス視点

お待たせいたしました。

 結論から言うと、転生者探しは一時棚上げにすることにした。


 直接関わり合いのない現時点では見極めが難しいということもあるし、それは学校で行ってからでもいいだろうとの判断から。


 ただ、調査結果から察するに、レフィル王子とラスティ・グランフォードではないとは思われる。


 もしレフィル王子が転生者であるなら、もう少し彼の婚約者候補達との間に違った関係性があってもいいように思えるから。


 またラスティ・グランフォードについては、彼が明らかに変わっていったという転換期がある。


 それが、クラウン家訪問後の時期。


 それは、彼が変わる何かがあったと見てよいだろう。


 ゲームでのラスティは傲慢さが目立つ俺様男のはず。


 だが、現在の彼は多少その傾向はあってもゲームのそれとは明らかな違いがある。


 少し残念かしら。


 わたし、傲慢俺様男は虫唾が走るほど嫌いだから、ゲームそのままだったのなら立ち直れないほどこてんぱんにその鼻っ面をたたき折ってやったのだけど。


 まあそれはそれとして、残るは三人。


 クラウン家のエレナとジェレミーはほとんど外には出ないらしく、情報が少ない。


 エルハラン公爵家のニールについては、それなりの情報が集まったが、その調査結果を読めば読みほど、どこの超人かと思われる結果報告が出てくる出てくる。


 これこそ転生者の恩恵かしらと思わなくもないけれど、それにしては感情が抜けているような様子がゲームのままらしいのが気になるし。


 本命はニール、次点がエレナ、可能性としてジェレミー、というところかしらね。


 ……転生者が複数いる、という可能性も捨て切れはしないけれど。






 そして、さらに一年がたった。


 とうとう明日は家を出て、ゲームの舞台である学校へ向かう日となった。


 とりあえず、家の運営に伴う注意事項や指針は書面に起こして家令に預けてあるし。


 後はマメにチェックできるよう、報告書のやりとりをすれば問題なしね。


 それらの最終確認をする為、机にむかっていたわたしは肩をコキコキと鳴らすと首をまわした。


 ……さすがに、少し疲れたわね。


 わたしは気分転換に、窓辺によると、窓を全開にして外の空気を存分に吸い込んだ。


 ……さあ、明日からが始まりね。


 ゲームの強制力がどれくらい働くかはわからないけれど、わたしはわたしとレニー、二人が生き残るという勝負に勝った。


 きっと、だから、大丈夫。


 わたしは決意をこめて、窓の縁をぐっと掴んだ。


 ガキッ!


「……え」


 それは、突然だった。


 窓枠が外れ、それを掴んでいたわたしは引きずられるように外へと身体が傾いた。


 ここは三階。


 落ちればただでは済まない。


 恐るべきは、ゲームの強制力。


 この世界はそうまでして、わたしを排除したいらしい。


 っざけんなこら。わたしのここまでの努力を泡にする気かこんちくしょう。


 なんてことが頭をよぎるほど、時間がスローに流れた気がした。


 窓枠は完全に外れ、地面へと向かって落ちていく。

 

 そして、わたしも同様に。


 わたしは、重力の流れに従うまま、宙を飛んだ。


 

次回に続きます。

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