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ああ、なぜか悪寒がするのです

エレナさん、(脳内)暴走。

 はてさて、いったいどうしたことでしょう。


 わたしは目の前を歩くレニーの後ろ姿を見ながら首を傾げました。


 ただ今トイレを出るところを待ち伏せされ、話があるからついてきて欲しいと言われ、一緒に移動中なのです。


 トイレの前で話を続けることにならなくて、それはよかったのですが、いったいどこに行くというのでしょうか。


 そもそもレニー、いつもはわたしが近寄ってもすすすと逃げるように離れていっていたというのに、どういった心境の変化なのでしょう。


 話、とはいったいなんの話なのでしょうか。


 そしてどこまで行くつもりなのか。


 うううむ?


 わからないことばかりなのです。


 また、改めてレニーを見やりました。


 んー、やっぱり綺麗な子なのです。


 容姿が云々より、空気が綺麗というか……。


 やっぱりこの雰囲気はヒロインのソレなような気がするのですよ。


 でも、レニーは男子ですし、やはりそれは……。


 はっ!


 もしや……。


 もしかしてもしかするですか!


 何かの事情で男の子として育てられたヒロイン……!


 運命の悪戯で女の子なのに男の子として生きてこなければならなかった、なんて可哀そうなわたしのヒロイン……!


 そうですよ!


 きっと、そうなのです!


 ゲームにそんな設定なかったと思いますが、わたしからしてゲームとは違ってるんですから、何があってもおかしくはないのですよ!


 きっと、レニーはそのことをわたしに打ち明けてくれようとしているに違いありませんがな!


 だから、大事な秘密を誰にも聞かれないよう人気ひとけのない場所に行こうとしてるのですね!


 そして、重大で大切な秘め事を共有しあったわたしたちは、きっと誰にも負けない素敵な親友……、いえ、心友となるのです……!


 レニーは心配そうに、だけどどこか信じる気持ちを胸にわたしに問いかけるのです。


 このことは、二人だけの秘密だからね、と……。


 もちろん、わたしはこう答えるのですよ。

  

 もちろん、わたしは……。




「……あの、どうしたの? 具合でも悪くなったの?」


 ふと、そんなレニーの窺うような声に、わたしははっとしました。


 おうっ、うっかり自分の思考に夢中になり過ぎて、足を止めてしまったようです。 


「いえ、なんでもないのですよ。大丈夫なのです!」


「そう? それならいいけど」 

  

「そうなのですよ! わたしは絶対にレニーが女の子だなんて、誰にも言わないのです!」


 はりゃ?


 勢い込んだわたしは、うっかり脳内思考の続きを口に出してしまいました。


 レニーはというと、一瞬ぽかんとした顔をした後…………。




 ぞくっと悪寒がわたしの背筋を走り抜けました。


 さ、寒い……。


 寒いのですよ?


 ツンドラニールがいないのに、何故かツンドラブリザードが吹雪いているのですよ……!?


 この悪寒はいったいどこからくるですか……!

 

もちろんブリザード発生点はレニーです。

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