グランパはじめまして
グランパグランパパパラッパ♪(意味はありません)
馬車に揺られてグランパの家に着きました。
ママさんとパパさんも一緒。
ママさんに手を引いてもらって、お屋敷の前に立ちました。
……城?
お屋敷は、城でした。
うちも大概大きなお屋敷だーって思ってたけど、レベルが違うぞ。
グランパ何者?
迎えてくれたのは、執事さんでした。
セバスチャン!
わたしはそう叫びそうにないましたが、執事さんはグラスさんと言うそうです。
白髪眼鏡の老紳士。
理想の執事像です。
セバスチャーン! と呼びたかった。
執事さんに通されたのは客室でした。
ご当主様、つまりはグランパがくるまでここで待ってるそうです。
「疲れた? エレナ」
「んーん、だいじょうぶでしゅー」
ママさんに問われ、わたしは首をふった。
「そう、いい子ですねー」
「あーい」
その後、出してもらったジュースを飲んでると、足音がして、淡い茶色の髪の男の人が部屋に入ってきました。
目の色は琥珀色。
そして顔は……。
「あう」
しかめっ面で怖かった。
眉間にしわが寄ってるですよ。
「まあ、お父様。お久しぶりですわ。お元気にしてらして?」
ママさんは完璧な淑女の礼をとると、嬉しそうにそう言った。
やっぱりグランパ決定です。
「お久しぶりです、エルハラン公。今日は娘をご挨拶に連れてまいりました」
パパさんは完璧な紳士の礼をとると、そう言った。
「うむ」
それに対してグランパは浅く頷いただけ。
そしてその視線は、わたしに向けられている。
どうするわたし、なにを言えば。
蛇に睨まれた蛙状態の私に、グランパから声をかけてきた。
「名前はなんと言う?」
「え、えれなでしゅ」
びくびくしながら答えます。
だってグランパ顔怖い。
わたしは確信する。
隔世遺伝は髪と目の色だけ。
だってわたしの顔はこんなに怖くないもん。
「いくつになる?」
「しゃ、しゃんしゃいになるでしゅ」
うう、ママさんと練習しておいてよかった。
じゃなければびびって答えられなかったよう、ふにゅー。
「……この子は言葉が遅いのか?」
ガーン。
この転生チートに向かってそのセリフ。
聞き逃せません!
「えれな、言葉遅くありません! たくさんお話しできるでしゅ!」
「ほう」
怖いだけの顔だったグランパに、おもしろがるような色が浮かんだ。
「わしが怖くないのか?」
「怖くなんかないもん!」
顔は怖いけど。
「くく、そうか」
なにが面白いのかしらんが、グランパは身体を小刻みにして笑ってる。
まったく、失礼な!
「お父様、エレナがむくれてますわ。からかうのもほどほどに」
「うむ。わしが悪かった。……エレナ」
「あい」
「わしはエルハラン公爵レベリーだ。これでも、ずっとおまえに会いたいと思っておった。仲良くしてくれるか?」
「あい!」
わたしは心が広いのです。
仕方ないので許してあげるです。
そんなわたしにグランパは相好を崩して笑った。
……やっぱ顔こわ。
顔の造りはグランパに似なくてよかったです。
次回は攻略対象者一人目登場! 予定です。
違ったらすみません。