ご報告、ご報告、なのですよ
更新遅くなりまして、すみません。
「姉様、今日はずいぶんとご機嫌だね」
「ああ、満面の笑顔のエレナは、か、か……かかか」
「すっごく可愛いね」
「な、おまっ。それは俺が言おうと……!」
「ヘタレは黙ってなよ」
「ヘタレなんかじゃ……」
「ふうん?」
「……ない、し……、くそ」
フィル様というお友達が出来た翌朝、学校でジェレミーとラスティにそう指摘されたですよ。
このあふれ出る喜びは隠しきれないようですなっ。
今朝も出来れば朝食ご一緒したかったですけど、残念です。
フィル様は朝食は食堂にこない派なのでした。
「ふふふー、わたしがご機嫌な理由が聞きたいですか? 聞きたいですよね、当然!」
「もちろんだよ、姉様のことならすべて」
「胸をはるエレナも……、かわ……」
「ふふん、では教えてあげるのです。じゃじゃーん、わたし、エレナ・クラウン。この度初めての女の子のお友達が出来たのです!」
両手を大きく上げて、ご報告なのですよ。
「それはよかったね、姉様」
「エレナ、よかったな」
「はい、なのです!」
わたしは大きく頷きました。
「今度、二人にも紹介するですよ。とっても綺麗な人なのです。侯爵令嬢なのです。ニール兄様と同い年のお姉様なのです」
「そう。ああ、もしかして姉様がずっと言ってたの、その人のこと?」
あう、ヒロインのことですね?
「残念ながら、それはきっと違うのです。彼女はわたしと同じ年のはずですから……。で、でもでも、それはそれとして、わたしのファーストフレンドもとっても素敵な人には変わらないのですよ? 本当なのですよ?」
「うん、そっか。それはよかったね、姉様」
「落ち込むエレナも必死なエレナも、か……あやべ、鼻血」
「変態は姉様の前から去れ」
「変態じゃねえ!」
「黙れ」
ふふ、この二人も本当に仲良しさんなのですよ。
これが気の置けない男の友情という奴なのですね。
実はちょっとうらやましかったのですよ。
でもこれからはわたしにも同性のお友達が!
目指せ、お泊り会でのガールズトーク!
「まあ、これは放っておくとして。ねえ、姉さん」
「はいな」
「そのお友達の名前は? なんていう方ですか?」
「…………………………………………フィル様です!」
「えと、フルネー…」
「フィル様なのですよ!」
「……うん、わかった」
「へー、フィルって言うのか。貴族の女性にしては珍しい名前だな」
「……おまえそろそろ空気読むこと覚えろ」
「あ? 何言ってんだ?」
そんな二人の会話を耳にしながら、わたしは心に決めました。
今日寮へ帰ったら、フィル様のフルネーム書き取り百回なのです……!
エレナさん、フィル様のフルネーム、また忘れた模様。




