わたしとおなかは一蓮托生なのです
ここまで名前ネタひっぱることになるとは思いませんでした。
「ところでフィッフィー様、どんなご用なのでしょうか?」
わたしはそう言えば、と思い出して首を傾げて聞いてみたですよ。
すると、それまで疲れたように項垂れていたフィッフィー様はハッとしたように顔を上げました。
「ああ、そうでしたわ、名前に気をとられてすっかり忘れていました。……ってちょっとお待ちになって、その珍妙な呼び方は何なのですか」
「えーと? フィフィルティール様だとちょっと長すぎるですから」
なので、命名フィッフィー様。
「人におかしな呼び名をつけないで下さいな!」
「ふへー、可愛いと思うですよ?」
「可愛くなんてありません!」
「むー? ではフィー様では」
「略しすぎですわ!」
「んー? じゃあティール様?」
「男の方の名前みたいで嫌ですわ!」
「じゃあじゃあ、フィルティー様!」
「名前の間だけ抜き取らないで下さいませ!」
「ええー、じゃあ何て呼べばいいんですかー」
「普通にフィフィルティールってお呼びになれば良いでしょう!」
「ふにゅー、長すぎて呼びづらいのですよー。半分にして下さいなのです」
「名前を半分にって何なんですの!?」
そんなやりとりをしてまた小一時間。
「はーはー、じゃあ、フィル様で、納得して頂けるんですね!」
「ふーふー、も、もうそれでいいですわ……」
フィル様はますますぐったりとした様子でそう言った。
「そ、それで用件ですけれど……」
ぐきゅるるるるるーるるる-!
「…………」
「…………」
「……な、何の音ですの?」
ぐっきゅるっるるうー!
「……私のおなかの音なのです」
ぐきゅるーうーるるーる!
「……おなかってこんな音するものですの?」
ぐっるっるるうるー!
「……わたしのおなかはするんです。そう言えば、おなかすいたです。忘れてたけど、食堂の時間終わってしまってるのです……」
ぐ!? ぐるるるるるるるるるるるるるー!
「……何か、生き物みたいですわね」
ぐーるるるるーるるるるーるるー……。
「……今夜はご飯抜きなのですか。おなかすいたです。……ぐず」
ぐ……るる……るる……る…………。
「え、どうしたんですの。嫌ですわ、泣かないで。ほら、泣かないでったら、もうーっ」
無理なのですよ。
空腹で腹も鳴くが私も泣けてくるのです。
ふえー、おなかすいたのですよー。
ぐきゅるきゅるきゅるぐきゅるきゅるー。
おなかを鳴らしながら、ほろほろと涙を零すわたしに、フィル様大慌て。
「も、もうわたくしの部屋へいらっしゃい! 簡単なものでしたら用意させますから!」
ぐきゅ!
ごはん!
そのフィル様の言葉にわたしのおなかは期待で鳴りやみ、わたしの涙はぴたりと止まったですよ。
ではさっそく行くですよ! フィル様のお部屋へ、ゴーなのです!
次回フィル様のお部屋。




