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ヒロイン? 登場

やっと登場。

 やっとのことで人の壁から抜け出たわたしは、壁の花になるべくそろそろと移動したのです。


 動きを察知したジェレミーやニールがついてこようとしましたが、シャーっと威嚇して引き離したのですよ。


 これ以上奴らの人寄せパンダの巻き添えをくらうのはごめんなのです。


 そんなわたしの思いを汲み取ったニールに、一人でこの会場を出ないことを条件に離れることを許可されました。


 てゆーか、過保護にもほどがあるってもんですよ、もうっ。


 学校内でどんな危険があるってんですか、むー。


 そんなこんなで人心地ついて、わたしはあらためて奴らを見ました。


 ……おー、すごいですなー。 


 人寄せホイホイなのですよ。


 まあ、あそこに乙ゲーの攻略対象者四人勢ぞろいなのだから、当然なのですかねー。


 攻略対象者ってこと外しても国の重要ポストの家の御子息ばっかですもんね。


 第二王子のレフィルは、内面残念ぶりを微塵も感じさせず、にこやかに談笑を交わしています。


 キラッキラしてるですなー。


 我が従兄弟殿のツンドラニールは、大物の貫録で悠然としてるです。


 お前は何様だ。


 可愛い義弟のジェレミーは、内面の腹黒さをどこにしまいこんだのか、スマートな礼儀正しい少年の見本のようになっとります。


 やっぱあのパパさんそっくりの見た目は羨ましい……。


 獅子はどこいった、名ばかり婚約者・ワンコのラスティは、……男が群がってますな。


 ニールの前では子犬でも、他の男子の前ではリーダー犬っぽいですな。どっちにしてもワンコだけど。



 わたしはじっと、四人に群がるやからを観察し、確信した。


 うん、あの中にはわたしのヒロインはいませんな。


 まあ、そうだとは思ったのですよ。


 わたしのスーパーパーフェクトヒロインが、烏合の衆と一緒になるわきゃーないのですよ。


 そうと決まれば、とわたしは壁から離れました。


 余計な人間があいつらに集まっている今がヒロインを探す絶好のチャンスなのですよ。


 きっとヒロインは、あいつらのことなんか目もくれず、孤高に、気高くこの会場のどこかで時を過ごしているに違いないのです。


 さあ、行くですよ!


 と、決意をかため足を踏み出したその時。


 ドン!


 想いに耽り、なおかつよそ見をしていたわたしは思い切り何かにぶつかったのです。


「ふきゃっ」


「危ないっ……!」


 反動で後ろによろけたわたしに、差し出された手。


 思わずその手をつかむと、ぐいっと身体が引っ張られました。


 そして。


 ぽすっ。


 手を引いてくれた人に、抱きとめられました。


 ふえー、び、びっくりしたのです。


 ほっとしたわたしの顔を、その人はそっと覗きこんできました。


「……ごめんね、大丈夫だった?」


 その顔を見た瞬間、わたしの身体に電撃が走りました。


 見つけた。


 やっと会えた。


 わたしの、ヒロイン、その人に……!




しかし今回もまた登場シーンのみ。

もはやお約束。

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