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ヒロインを探せ、なのですよ

さあ、エレナのヒロイン到着までもうすぐに。

 やってきました懇親会。


 はじまりました懇親会。

 

 さあ、愛しのヒロインに出会う時がとうとう訪れたのですよ!



 ちなみに懇親会とは、まあいわゆる立食パーティのことなのです。


 各テーブルに料理やスイーツが並んでいるのを、それを手に取りながら歓談するのです。


 飲み物は給仕の人が会場内をまわっているのでその都度もらうのですよ。


 ジェレミー、ラスティと連れ立ってきた時にはすでに始まっていました。


 にこやかに会話を交わすのは、大体貴族の子女ですね。


 どこかこなれているのですよ、見た感じ。


 会場に隅っこにいたり、自身を猛烈な勢いで売り込んでいるのは、血筋ではなく自身の才で入った人や有力商家の子供達でしょう。


 貴族の子女とは言っても、別段夜会などには出てはいません。


 だけど、お茶会やなんやで結構場数こなしている人も少なくないのです。


 ニールはこなれている人達の筆頭になるかと思いますし、わたしはほぼ家から出してもらえなかったのでほぼ経験値ゼロなのです。


 ママさんほわほわしてるくせに、あまり人の集まり好きではないようなのでもとから機会少なかった上に、パパさんニール、ジェレミーの過保護っぷりが凄く、というわけで。


 でも、これからは違うのですよ。


 わたしはアグレッシブな女になるのです。



「あ、エレナ、あれお前好きなんじゃないか? うまそうだぞ」


 密かな決意をしていると、ラスティがそう声をかけてきました。


「え、なんですか、どれですか」  


 うまそうの一言に、わたしの意識は一瞬で人から料理に移りました。


「姉様の好みは誰より僕が一番把握しているよ。待ってて、今小皿にとってあげる」


「ありがとうなのです、ジェレミー」


「あ、エレナ。飲み物はオレンジのがいいんだよな。俺がもらってくる」


「はいなのです、ラスティ」


 ジェレミーとラスティーにあれやこれやと構われている間と、ニールが王子を連れてやってきました。


 心なしか、王子の青色が青い。大丈夫なのでしょうか。


「エレナ、問題はないかい」


「はい、ニール兄様。おいしくいただいているのですよ」


「それはよかった。たくさん食べなさい」


「もちろんなのです」


 ニールはわたしが頷くと、ぽんぽんと頭を撫でてきた。


 ……ニール、さすがに人前では子供扱いやめて欲しいのですよ。


「おー、猛獣使いがここに……。エレナ嬢、この心得は?」


「心得? よくわからないです、意味が。それと殿下、わたしのことはエレナと呼んでもらっていいですか」


 嬢、だなんてどこのおやっさん発言かって、言われるたび突っ込み入れてしまいそうですがな。


「ああ、エレナ、これでいい?」


「はい」


「じゃあ、僕のこともレフィルって呼んでね? レフィル兄様でもいいけど」


「……王子様を兄様呼びは出来ないですし、呼び捨てだって不敬にあたりますので……、レフィル様、でいいですか?」


 わたしの返答に、王子がどこか嬉しそうに頷きます。


 ところでニールにジェレミーにラスティ、なんでそんな苦虫潰したような顔してるですか。



 そんなのんきな会話をしているうちに、なんだかまわりにどんどん人が集まってきました。


 ……なぜ?


 って一瞬思いましたが、そりゃそうです。


 だってここには、国の王子様と有力公爵家、侯爵家、伯爵家のそれぞれの跡取りがいるのですから。


 そりゃ人も寄ってきますがな。


 あっという間に囲まれた私たち。


 そしてわたしは左右前後をニール・レフィル・ジェレミー・ラスティに覆われて。


 ちょ、わたしはわたしのヒロインを探しに行きたいのですよ。


 はう、抜け出せないのです。


 わたしの愛しのヒロイン。


 ヒロイン、どこにいるですかー!




しかし肝心のヒロイン、どうするかまだ未決定。

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