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入学式の朝なのですよ

あれ? キャラの年齢あがったのに、恋愛ジャンルなのに、コメディー色がより一層……。

 寮の朝御飯の味はまあまあでした。


 まあ、ちょっと少しかなり量が足りないと言えば量が足りないかも。


 貴族の婦女子は小食でいらっしゃるとみえる。


 ぐるるー。


 腹の虫が足りてねーぞと鳴きやがります。


 ふっ、こんなところで日常ジェレミーのおかずを奪取していた弊害が出るとは。


 最初はいじわるのつもりで奪っていたわけですが、ジェレミーが喜ぶのとわたしの胃袋が底なしだったせいで日常化していたのですよ。


 なもので、すっかりわたしの胃袋は大きくなってしまったようなのです。


 ……太らない体質ばんざーい。


 ついでにわたしの意に反してところ構わず食糧を要求してこない胃袋だったらなお良かったのに。

 

 ぐっきゅるっるー。


 うん、どうしようこれ。


 入学式の最中に鳴りだしたら羞恥心で死ねそうですよ。


 もんもんと考えながら、女子寮を出たその瞬間。


「エレナ!」


 と歓喜の色に満ちた呼び声が。


 顔を上げると、そこにはわたしの名目上の婚約者、ラスティ・グランフォードが立っていました。


 赤い髪に将来が楽しみな整った容姿。


 背の高さはわたし、ジェレミー、ニールの中で今では一番です。


「久々だな、会いたかった!」


 最初の頃の俺様ぶりはすっかり今では鳴りを潜め、何か大型ワンコになってきてますよ。


 ワンコ、いいですよね。


 ラスティーに見えないはずのしっぽと耳が見えるようです。


 しっぽぶんぶん振ってる様子が想像できるですよ。


 ちなみにニールは気高い豹で、ジェレミーは高貴な猫って感じでしょうか。


 わたしは、何ですかねー。ネズミとかじゃないといいですねー。あー、ハムスターとか近そうでなんか嫌ですなー。


「エレナ、エレナ!」


 ワンワンラスティーが喜色満面でわたしに抱きつかんばかりに駆け寄ってきました。


 おおう!?


「落ち着け!」


 そこを、ジェレミーが頭を叩き止めてくれました。


「ってー、何すんだよー」


「何をするんだはお前だ、ラスティ・グランフォード」


 文句を言ったラスティに、今度はニールが氷のような声を浴びせます。


 三人一緒でしたか、仲いいですね、ちえ。


 私も早く女の子の友達欲しいですよ。


 それがヒロインならなお良し。


「人目のあるところでレディに抱きつこうとするなんて、姉様の評判を地に落とすつもり? この馬鹿犬」


 ジェレミーもバッサリいきます。


 通常伯爵の息子が侯爵の息子にかける言葉ではないですね。


 でもパパさんのラスティのパパさんへの取扱いも似たようなもんだから、いいのかなー?


「ば、馬鹿犬!? うるせえこのシスコン男! エレナは俺の婚約者だからいいんだ!」


「いいわけあるか、この阿呆」


 あ、ツンドラニール降臨。


「貴族なら貴族の礼にのっとった 行動をしろ。お前はどうでもいいがお前の軽挙な行動に、エレナを巻き込むな、ラスティ・グランフォード」


「う…うう……」


 ジェレミーには言い返せるラスティも、一つ年上で家の爵位も上で本人の資質も上でなおかつブリザード気候を身に纏わせたニールには何も言い返せない様子です。


 でもこのままだと埒があかないので、ご挨拶ご挨拶。


「おはようなのですよ、ニール、ジェレミー、それにラスティー」


 ぐっきゅるるるるーるー!

 


 ……腹まで挨拶しやがったですよ、おい。


  



エレナさんのお腹の自己主張はすごいです。

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