ラスティ・グランフォード視点
一日あけちゃいました。
いきなり婚約者が出来た。
親父に連れられたきたクラウン伯爵家。
目の前に立つのは、淡い琥珀の宝石のような瞳をした女の子。
エレナ・クラウン。
まんまるの目をぱっちり開いて俺を見ていた。
かわいい、かも。
そう思った。
だけど、そう思われるのも何だか負けたような気がして、思わず悪態をついた。
地獄をみた。
知らなかったのだ、俺は。
エレナ・クラウンには過保護で冷徹な悪魔と、超ド級のシスコンで極悪の悪鬼がついていたなんて。
悪魔の名前はニール・エルハラン。
悪鬼の名前はジェレミー・クラウン。
殺されるかと、思いました。
それを助けてくれたのが、エレナ・クラウン。
俺の、婚約者。
俺を見て、にっこり笑った。
かわいい顔が、もっとかわいくなった。
俺は、その瞬間、エレナに心を奪われた。
しかも、驚いたことに悪魔も悪鬼もエレナには敵わない。
小さくて、かわいい俺の婚約者。
そして、誰よりも強い。
これが、俺の婚約者。
将来の、俺の、お嫁さん。
俺は、悪魔と悪鬼に優越感を覚えた。
ふふん、いくら、悪魔や悪鬼が邪魔をしても、どんなに悔しがっても、エレナはもう俺のものなんだから。
「えー? いつでも解消できるけどね。あ、されるの間違いか。あははははー」
親父は笑った。
何だと……!?
そんな、と俺は親父にきちんと王宮へ届けて正式な婚約にしてくれるように頼んだ。
が。
「嫌だよ。そんなことしたら僕がルフォスにぶっ殺されちゃうじゃん。この婚約話だってけっこーギリだったのに」
知らんわ、そんなこと。
「ふふ、駄目だよ。楽しよーだなんて。ライバル多くて焦るのはわからなくもないけど」
嬉しそうに笑う親父。
……殴りたい。
「本気なら、ラスティも本気になればいいさ。精一杯男を磨いてエレナ嬢を惚れさせてみなさい」
エレナが俺に惚れる……。
うん。
……うん、それ、いい。
エレナが、俺を大好きでたまらないといった顔で見てくれる。
それ、すごく、見たい。
「ふふ、いい傾向だね。正解だったな、僕の読み。さすがエレナ嬢。ま、せいぜい頑張んなさいな、我が息子よ」
……くそ、やっぱりこの親父むかつく、殴りたい。
たぶん次の更新も2.3日あいちゃうと思います。
すみません。
※ご指摘頂きまして、ブラコン→シスコンへ修正致しました。申し訳ありません。




