もう教育係はこいつらでいいんじゃね、です
ふー、今日の更新間に合いました。
ぷるぷる震えた兎さん。
そう表現するのがぴったりですね、うん。
え? 誰がですって?
それはもちろん、わたしの残念な婚約者、ラスティ・グランフォードでありますよ。
あれからどうなったかと言いますと。
ツンドラニールのブリザードな眼差しと。
ブラックジェレミーの視線で人を殺せそうな凶悪な眼差しと。
ツンドラニールの容赦ない冷徹な物言いと。
ブラックジェレミーのその言実行したら何人人死にますかね発言と。
ツンドラニールの凍りつくようなオーラと。
ブラックジェレミーの悪寒がはしる禍々しささえ発する空気と。
うん。
それを小一時間。
俺様傲慢高慢のお子様は。
今では立派に涙を浮かべた弱々しい子兎さんと相成り果てました、まる。
……もう教育係こいつらでよくね? ですよ。
わたしは遠い目でそれを眺めていたですよ。
しかし。
うーん。
このまま続けられて廃人にでもなってしまうと、それはそれで問題あるですな。
そろそろ助け舟だしてやるですか。
「ニールにー様、ジェレミー」
「何だい、エレナ」
「何ですか、姉様?」
小声で呼びかけただけで振りかえる二人。
わたしを見る目は、ラスティを見ていた目と違って非常に優しくで甘さがあるです。
……こいつらの変わり身が早くてドン引きですよ。
「二人とも、怖いです」
「……!」
「……そ、そんな、姉様……」
二人はショックを受けたようにサーと青褪めました。
「ご、ごめんよ。エレナを怖がらせるつもりなんて、そんな、わたしは……」
「姉様、ごめんなさい。そうだよね、優しい姉様の前でこんな……裏ですればよかった」
動揺する二人。そしてジェレミー、最後に小声で言ったの聞こえたですよ。怖いですがなまじで。
「ニールにー様、ジェレミー」
「あ、ああ」
「はい、姉様」
わたしはこてり小首を傾げて、お願いのポーズをとりました。
「みんな、仲良く、ですよ?」
「もちろんだよ! エレナ!」
「姉様の仰るとおりです!」
ふっ、ちょろいのです。
だってわたしは転生者。
精神年齢がその辺のお子様とはわけが違うのですよ。
そして後は、とラスティを見やります。
ラスティはぽかんとした顔でこちらを見ています。
わたしはてててとラスティに近寄ると、顔を近づけて言いました。
「ラスティも、なのですよ? みんなで仲良くするのですよ」
ラスティは呆然とわたしの顔を見たままです。
だからわたしは、にっこりと笑ってみせました。
ぼんっ!
ん?
ラスティの顔が急にゆでダコみたいに真っ赤になったですよ。
何でですかね?
あれ? そう言えばわたしラスティのこと高慢で高飛車に……。
ま、いっか。
先はまだ長いのです。
まだこれからですよ。
まだまだなのです。
ね?
エレナさん気がついたら逆ハールート突入してます。
エレナさんに自覚なし。
そしてこっちもそんな予定はなかったのに、不思議ですね。




