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迷子になった、その後は

エレナさん、ブレません。

その食い意地とお馬鹿な言動が。

 た、大変なのです!


 迷子になってしまったのです!


 ニールはどこですか!


 ジェレミーは!


 お付の人は!


 きょろきょろと辺りを見渡しても誰も見つかりません。


「あ、ちょっと、お嬢ちゃん!」 


 わたしは慌てて駆け出しました。


 そう、すっかり忘れていたのです。


 迷子になった時の鉄則。


 極力その場から動かず待機、というものを……。




 ぐきゅるるるるー……。


 おなかすいたのです。


 探しても探しても誰も見つからないのです。


 わたしはこのまま家なき子になってしまうのでしょうか……。


「嬢ちゃん、どうしたね」


 涙を浮かべてトボトボ歩いていたら知らないおじさんに声をかけられました。


「迷子かい? 腹へってるのかい?」


 わたしは力なくこくりと頷きました。


「そりゃかわいそうにな。よかったらおじさんの家にくるかい? おいしいお菓子やご飯がたくさんあるよ」


 ぐきゅるるるるー!


 お菓子、ご飯……。


 ふらりとそのおじさんについて行きそうになった私は、腹減りのあまりすっかり頭から抜け落ちていたのです。


 前世も今世も共通であろう鉄則。


 知らないおじさんにはついてっちゃ駄目ということを……。



「エレナ!」


「エレナ姉様、やっと見つけた!」


 しかしわたしは寸でのところでその鉄則は破らずにすみました。


「ニールにー様、ジェレミー」


 ニールとジェレミーはわたしにぎゅうぎゅうと抱きついてきます。


「心配したんだから、姉様の馬鹿ー!」


「無事でよかった、エレナ……」


 しばらく二人にされるがままになっていたわたしですが、状況を飲み込むと、ぶわっと涙があふれてきました。


「ふ……ふえええええー! ニールにー様ー! ジェレミー! ふええええーん! 不安だったですー! 怖かったですー! おなか減ったですー! ふえええええー!」


 大泣きするわたしに、ニールとジェレミーは大慌てです。


 知らないおじさんはいつの間にか姿を消してました。



 そんなこんなでわたしのはじめてのお出かけは散々でした。


 後から事情を聞かれ、ニールにもジェレミーにもパパさんにもすっごく叱られたですよ。


 ママさんは「これもいい思い出よねー」と笑ってましたが。


 実はママさんも経験者ですね、とわたしは推察しました。


 そして、今後はお出かけの際には手をつなぐこと。


 必ず誰かと行動して、一人にはならないこと。


 知らないおじさんには絶対についていかないこと、を約束させられました。


 うん、それは大丈夫そうですよ。


 だって、またジェレミーのがっちりわたし捕獲状態が再開してしまったから……。


 でも、わたしが悪いのでしばらくはおとなしく我慢するです。


 あ、あと余談ですが。


 チョコバナナ、ちゃんと買ってもらいましたよ?


 とってもとってもおいしかったです。

次回より攻略対象者三人目編、突入予定、です。

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