……あれ?
エレナ、現実を知る・の回です。
……あれ?
…………あれれ?
ただいまわたし、鏡を見ています。
あれ? なのです。
わたしの想像ではそこにはスーパーウルトラビューティフルベイベーがいなければおかしい。
もしくはハイパーモアレストプリティーベイベーでも可。
……あれ?
鏡の向こうには小さな女の子の姿が映ってます。
ためしに手をあげてみる。
鏡の向こうの女の子も手をあげてる。
……あれ?
と、いうことは、つまり。
鏡の中の女の子はわたしということで。
……あれ?
そ・う・ぞ・う・と・ち・が・う・ん・で・す・け・ど!?
いや、不細工とは申しません。
むしろかわいいとも思いますよ?
そうかわいいかわいい。
あのパパさんとママさんの存在がなければですが!
改めてじっと鏡の中のわたしを見つめてみる。
髪は金髪とも言えなくはない色合い。薄い茶髪とどっちのが近いかねー? みたいな感じ。
……あれ?
パパさんの豪奢な金髪とママさんのきれーな金髪どこいった。
瞳の色は、淡い琥珀色。
……あれ?
これも綺麗っちゃ綺麗かもだけど、なんか地味。
髪の色との組み合わせではもっと違う印象かもしれんけど。
パパさん深い青とママさんのきれーな青はどこいった。
顔はまあ、よくクラスにひとりかふたりはいる、「あ、可愛い子だね」レベル。
……あれ?
ここが一番本気で問いたい。
パパさんとママさんの正統派美形の遺伝子どこいった!
鏡の前から離れないわたしに、ママさんがにこにこしながら話しかけてきた。
「あらあら、自分の姿が映ってるのが、不思議なのねー」
いえいえ、鏡に映ってる自分の姿が不思議なのですよ。
「やっぱり、かわいいわねー。鏡に映っても、とってもかわいい」
親馬鹿発言ありがとうございます。ただわたしが問いたいのはそこではなく。
「あう、あうう。あーうう」
どうにかこの気持ち汲み取ってもらおうと、指を指して本気で訴えてみる。
「あらあらどうしたのかしら? ああ、お母様と髪や瞳の色が違うのが不思議なの?」
「あう!」
やたっ! 通じた。
「ふふ、そうねー。あなたはお母様のお父様、つまりエレナのおじい様にそっくりだものね。今度会いに行きましょうね」
はっ。
まさかの。
か・く・せ・い・い・で・ん!
現実を受け止めたわたしはがっくりと項垂れました。
がっくり。
なかなか悪役令嬢、の部分にいかないですねー。
現在エレナ、転生者の自覚はあるも世界がゲーム世界であることはまだ気づいてません。