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ジェレミー・クラウン視点

今回はジェレミー視点にしました。

 その時のことはよく覚えてない。


 突然の衝撃。


 激しい痛み。


 閉ざされた視界。


 薄れた意識。


 気がついたら、お父様にそっくりなお父様のお兄様、伯父様がそばにいた。


 でも、全然違う。


 お父様はいつも柔らかな笑みを浮かべていたけれど、伯父様は凜とした姿であまり笑みを浮かべない人だった。


 僕は、そこでお父様とお母様が亡くなったことを知らされた。


 馬車の事故だった。


 僕が助かったのが奇跡だと言われた。


 僕は実感がわかなかった。


 お父様とお母様がすでにどこにもいないだなんて、それも信じられなかった。


 だけど、周囲の反応が紛れもない事実だと、僕にそれを教えた。


 気がつくと、僕は伯父様の家に連れてこられていた。


 伯父様の奥様、伯母様はとてもきれいな人だった。


 二人は、今日から僕のお義父様とお義母様になるのだと言った。


 それはおかしい。


 だって、僕にはお父様もお母様もいらっしゃるのに。


 たとえ亡くなってしまったのだとしても、僕にはちゃんといるのに。


 それから、目が覚めてからみんながみんな、僕を痛ましげに見る。


 お父様とお母様は僕をかばって亡くなったらしい。


 僕は、それを責められているような感じがした。


 そんな目で見ないでほしい。


 でも、それは言えなかった。


 なにも、言えなかった。


 僕は、その伯父様の家で初めて従姉妹に引き合わされた。


 エレナ・クラウン。


 僕より少しだけ早く生まれた、同じ年の僕の従姉妹。


 お父様も言っていた。


 もうすぐ、会わせてやれるなって。


 うん、会えた。


 でも、もう、お父様には会えない。


 お母様にも会えない。


 うつむく僕に、従姉妹はそっと僕の頭を撫でた。


 よく、お父様やお母様がしてくれたように。


 優しく、ゆっくりと撫でてくれる。


 従姉妹は言った。


 僕の姉様になってくれると。


 ずっと、僕と一緒にいてくれると。


 本当?


 ずっと一緒にいてくれる?


 お父様やお母様のようにいなくなったりしないで?


 僕は気がつくと、従姉妹……姉様にしがみついて泣きじゃくっていた。


 姉様はとてもあたたかかった。


 僕を抱きとめてくれる腕はとても優しかった。


 姉様だけは僕を痛ましいものを見るような目で見ないで、優しい大切なものを見るような目で見てくれた。

 

 まるで、お父様やお母様のように。


 もう、二人はいないけれど。


 ねえ、姉様。


 約束だよ。


 ずっと、僕のそばにいて。


 ねえ、姉様。


 絶対に、離れたりしないでね。


 僕のこと、おいていかないでね。


 ねえ、姉様。


 ずっと、一緒だからね……?

で、次にはまだいかずしばらくジェレミーとニールをからませようかと思ってます。

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