義弟がやってきました
二人目の攻略対象者登場です。
それから数日。
なんだか家の中がばたばたしてるです。
パパさんも青い顔をして、出たり入ったり。
ママさんもいつもの笑顔を引っ込めて、沈痛な面持ち……。
理由を尋ねても、後でね、とはぐらかされる。
おうちの使用人達もばたばたと動いてる。
なにごとですか。
なにがあったですか。
もしや没落とかそんなですか。
わたし、ぼんびーになるですか。
……ごはん食べれるですか。
あれ?
いやでもゲームではきちんとエレナ、お嬢様してたし。
じゃあやっぱり違うのかな。
なら、ごはんは大丈夫ですね、ほっ。
それにしても、はてさて。
どうなってるのでしょう。
とそれからさらに数日たち。
パパさんはひとりの男の子を連れ帰ってきました。
パパさんのミニチュア版です。
年はわたしと同じくらい。
おお、これは!
間違いなく我が弟君!
ふっ、待ちかねてましたよ。
これからいじわるお姉様がびしばしいじわるしていくので覚悟なさい!
……と、あれ。
パパさんすっご重い顔。
ママさんもすっごかなしそうな顔。
弟君も、……重いとかかなしいとか通り越して死にそじゃね?
あれ?
もしかして、家庭崩壊の危機とか?
パパさんの浮気にママさん決別とか?
もしくは二号さんにわたしとママさん追い出されるとか?
でも二号さんの姿は見えないし、あれ?
「エレナ……」
お、やっとパパさんが口を開きましたよ。
これから衝撃の告白ですね!
覚悟はできてますよ!
どんとこいです!
「この子は……、ジェレミー・クラウン」
はいはいな。
「わたしの弟の子で、おまえの従兄弟だ」
はいな?
弟ではないですか?
「そして、これからはおまえのお義弟になる」
「おとーと? いとこなのに、おとーと?」
わたしは首を傾げた。
年下の従兄弟だから弟扱いってことですか?
「そうだ。……先日、弟夫婦が事故で亡くなった。この子ひとりが取り残された。だから、うちで引き取ることにしたんだ。今日からこのクラウン伯爵家本家の息子で、おまえの義弟だ」
そのパパさんの言葉に、ママさんは目頭を押さえ、ジェレミーはうつむいた。
く……空気が、重い。
思ってた衝撃の告白とは別な衝撃の告白きた――――――――!
実はニールよりジェレミー君のが先に名前決まってました。




