わたしは恋愛フラグを期待します
大変お待たせ致しました。
レニーの挙動が少しおかしくなったのと本日こなすべき打ち合わせは大体終わったとのことでこれでお開きにすることにしたのです。
「じゃあまたですね。今日はありがとうなのでした」
「あ、ああ」
さよならの挨拶をにっこりしたわたしに、レニーは顔を赤らめてぎこちなく頷きました。
何ですかね、風邪でしょうか。
ちょっと心配ですが、男子の寮まで行って看病ができるわけではないので、それとなくジェレミーに言っておいて様子をみてもらえばいいでしょうかね。
まあ、男子寮でなくてもこのエレナさんに病人の看病ができるとは思えませんが。
昔熱を出したジェレミーの看病を張り切って付きっきりでしていたら、半日後には「エレナ様にみてもらっていたらジェレミー様の命が何個あっても足りない事態になります」と言われてメイドさん達に早々に部屋から追い出されましたから間違いないです!
「姉様、お疲れ様」
そんなことを思っていたら、ジェレミーがわたしの傍にやってきました。
タイミングバッチリですね、さすがわが義弟なのです!
「ジェレミー、お疲れ様なのです。ジェレミーも打ち合わせ終わったのですね! アニーはどうしたのですか?」
ぎゅうっと抱きつきながらそう尋ねてみました。
ふにゅうー、やはりハグすると落ち着くのですよー。
ついでに頭もぐりぐりと押しつけてみるのです。
ジェレミーは慣れたもので、そんなわたしの背中を支えるようにして腕をまわすと、少し苦笑しました。
「彼女なら打ち合わせが終わった途端飛ぶようにして戻っていったよ。何やら話の最中に新しい商材を思いついて、頭にあるうちに形をつくっておきたいからとかで……」
「おお! アニーはお仕事熱心なのですね。それで、ダンスパーティーの打ち合わせは大丈夫なのですか?」
「うん。それはさっさと終わったよ。基本彼女の提案する形に、少し僕が付け足したって感じかな」
おおう、優秀者二人で組むと話は早いですな。
美人で優秀、さすがヒロインと攻略対象者なのです。
これはもしや何やら芽生えちゃったりするのでしょうか!
フラグですか?
フラグ立ったりしちゃったですか?
「それで、アニーはどうでしたか? やっぱり二人だとドキドキしちゃったりとかですか? ふわふわした気分とかになったりしたですか?」
「ああ……」
うきうきしながら尋ねたわたしに、レニーはどこか遠い目をしながら言いました。
「何か……、まるでニール兄様の女性版と話をしているようだったよ……」
ぬ?
ニール兄様の女性版とはこれいかに。
次回もお願い致します。




