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フィル様の駄目だしコーナー、なのですよ

お待たせしました。

「論外、ですわ」


 はう!? 


 わたしはこれでもかとおめかしした格好をフィル様から全否定され、思わずぴきリとかたまったですよ。


 場所はフィル様の私室。


 夕食会の為にきちんとしたドレスコードを選びに選び、待ち合わせ時間ぴったりにやってきた私に対してのフィル様の第一声がこれなのです。


 きちんとおめかししてくるよう言われたから、頑張ったですのに!


「ど、どこがですか、フィル様!」


「どこがって」


 フィル様は細めた目で私を上から下までつーっと見下ろしました。


 おおっ!


 なんて様になる悪役令嬢のごとき仕草!


 これこそ参考にせねばなりませんな!


「全部ですわ」


 ぴしりと言い放つその言い方もまさに。


「全部なのですか!」


 エレナはダメージ100ポイント受けました、的な威力ですよ。言葉と視線だけなのに。さすがフィル様! 悪役令嬢顔は伊達だてじゃない!


「まずはその髪飾り。リボンが駄目とは申しませんが、そのサイズ、その位置、ありえませんわ。まるで幼児のようではありませんの。それにドレス。リボンやフリルは可愛らしくてエレナには確かによく似合いますわ。けれどものには限度というものがあります。数が多ければよろしいというものではありません。また靴の色とドレスの色がちぐはぐでおかしいですわ。全体の配色にも気をつけなければいけませんわ」


 おおう、言葉のナイフがずばずば胸に刺さるですよ。


 しかも正論なような気がするので返す言葉もないのです……。


「エレナ、あなた、いままで自分で正装をお決めになったことありまして?」


「ないのです! 全部ママさん侍女さんニールにジェレミーにお任せだったのです!」


 きっぱり言い切った私に、フィル様は小さく溜息を吐いて頭に指を添えたのです。


 ぬおー、迫力美人は憂える姿も絵になるのですねー。


「エレナ、あまり厳しいことは言いたくはありませんが、今後の為に最低限のコーディネートは身につけておいた方がよろしくてよ。本日のこの場も、後日のダンス・パーティの試験の前にささやかでもアドバイスできることがあればと思っていたのだけど、それ以前の問題でらっしゃったようね……」


 おう! そんな意図があったとは!


 フィル様、やはり顔に似合わず優しいのです!


「……それくらいになされては、フィフィルティール様。エレナはこれでとても可愛いらしいです。ダンス・パーティの件もレニーにきちんとさせますので、心配ありません」


 それまで黙っていたアニーはすっとわたし肩に手を添え、そうフィル様に控えめに進言したですよ。


 アニーも優しい! さすがヒロイン!


 しかもすごいです。フィル様のお名前ちゃんと言ってるです。


 わたしはもう忘れてしまってたですのに!


「アニー様、そうやって甘やかしてばかりではエレナの為になりませんわ。……それに、アニー様のそのお召し物も、改善の余地ありのようですわよ」


「私、ですか? 及第点はいっていると思いますが」


 アニーは意外なことを言われたとばかりに、首を傾げてみせた。


「及第点しかいっていないでしょう?」


 バチリ。

 

 ん?


 何か頭上で電流が走ったような気がしたですけど、気のせいですかな?


 上を見上げると、アニーとフィル様がにこにこと笑顔で見つめあっています。


 うーん?


 うん、気のせいですな。


 それよりおなかへったのです。


 晩ご飯はまだなのですかね~。


エレナさんは叱られすぎていてちっとも堪えていません。

次回フィル様VSアニー(笑)! になるかは未定。

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