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ダンス・パーティのお相手は

今回男はスルーされる、回。

 ニールの知恵袋利用不可……。


 一瞬かたまったわたしではありますが、ふっ、よく考えれば別に特段なんてことはないのです。


 だってわたしにはもう一人強い味方、マイブラザー・ジェレミー君がいるではないですか。


 ニールには劣るかもしれませんが、ジェレミーもかなりの知恵者です。


 いや、むしろレディの装いに関してはツンドラニールよりもきっとお役立ちに!


「ではジェレ……」


「ああ、それと親族間でのパートナーも今回は不許可なのですわ。公平性を保つ為に」


 何ですと!?


「まあ普通は同学年に兄弟姉妹がいる方はほぼいらっしゃいませんけれど、従妹や親族などの血族がいらっしゃる方はそれなりにおられますし。やはり幼い頃から付き合いのある方と付き合いの浅い方では、何を決めるにしても勝手が違いますもの」


 キラッ。


「でも婚約者は別ですわ。やはり婚約者とは将来ともにされることを前提としておりますので、それは何の問題もないと認められております」


 キラキラッ。


 わたしは何やらやたらキラキラと目を輝かせてこちらを見てくるラスティをスルーし、たった今使用不許可をもらったジェレミーを見つめました。


 ジェレミーもわたしを心配そうに見返してくれています。


 ノウウウゥ……。


 ジェレミーに全部お任せしようと思ったのに、それが駄目だなんて……。


 わたしはふいとラスティに視線を移しました。


 ラスティはこくこくとわたしに頷いてみせました。


 では、ラスティがパートナー?


 わたしの相談相手?


 ……不安しかない……。


 思わず頭を抱えそうになったわたしに、「困りましたわね」と横で呟くような声が聞こえてきました。


 そちらを見ると、アニーが頬に手を添え思案顔をしていました。


 うん、美少女は何やってても様になりますな!


「わたしもそのような場合は弟のレニーを、と思っていたのですけれど、駄目なのですね。……ああ、そうだわ、エレナ」


「は、はいなのです」


「あなたのパートナーに、レニーを貸し出そうと思うのだけど、いかがかしら?」


 うにゅ?


 レニー? なのですか?


 思ってもみなかった候補者の名前に、わたしは首を傾げました。


 それに合わせたように、ラスティはガタリといきなり椅子から腰を上げました。


 む? トイレですかな?


「あれは結構役に立つと思うわよ? 市場価格や、基本的なドレスコード、ダンスのリード方法も叩き込んであるから。気はきかないし、融通もいまいちでしょうけど、今回の課題なら問題はないと思うわ」


 おお!


 それはナイスな提案なのです!


「了解なのです!」


 わたしは一も二もなく頷きました。


「エレナ!?」


 ラスティが立ったまま何かわたしの名前を呼びましたけど、トイレなら早く行ってくるがいいですよ?


「では決定ね。その代わりと言ってはなんだけど、わたしもパートナーは必要なので……」


 アニーはジェレミーとラスティにスッと視線を走らせると、にこりと微笑んで言った。


「あなたの弟、ジェレミー様をお借りできるかしら?」


「もちろんなのですよ!」


 わたしはジェレミーに意見を問うこともなく諾を返しました。


 だってお義姉ちゃんの決定は絶対なのです。


 ジェレミーだってパートナー探しの手間が省けて楽ちんのはずですしね!


 まあジェレミーの場合はパートナーを見つける苦労というよりは、パートナーになりたくて寄ってくる相手を捌く手間が大変そうではありますが。 


「……何でだ! 何でなんだ~っ!」


 うぬ? 


 何やらラスティが頭を抱えて蹲りましたが、そんなにショックだったのでしょうか。


 アニーにパートナーとして選ばれなかったことが。


 まあ、アニーに選ばれなかったのはしょうがないのですよ。


 わたしでもジェレミーとラスティの二択なら我義弟わがおとうとを選ぶですよ。


 だってラスティ、女の子の装いに関しては何かセンスなさそうだし、結局お坊ちゃまで金銭感覚アバウトそうだし。


 ふっ。


 この世はしょせん弱肉強食なのです。


 頑張って他に相手を見つけるのですよ!


ちょっとラスティの扱いが憐れ。

きっと後でいいことあるさ、たぶん、恐らく、少しは。

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