機嫌直りましたですよ
大変お待たせしております。
実はこの先の展開でスランプ中なのです……。
食べ過ぎでおなかを壊したという不名誉な指摘をみんなからされたわたしはすっかりむくれてしまったのですよ。
「エ、エーレーナ? どうしたら機嫌直してくれるんだ? なあ、エレナ~」
さっきからラスティのご機嫌取りがしつこいのです。
しばらくはほっとくがいいですよ!
他のみんなは触らぬ神に祟りなしとばかりに放置気味なのですからっ。
……放置も少し寂しいのです。
ちらり、と一生懸命にこちらの様子をうかがってくるラスティを見てみます。
わたしが視線を向けただけで、ぱっと笑みが浮かびます。
ああ、ラスティ……。
ちょっと可愛いではないですか。
何だかとっても単純なワンワンを連想させるのです。
見えないしっぽがブンブン揺れてるのがわかるですよ。
何だか怒っていたのが馬鹿らしくなってきたですね。
わたしはラスティの袖をちょいと指でつまむと、笑みを浮かべました。
「もう怒ってないのですよ、ラスティ」
「……エ、エレナ! ……ぐえ!」
「ちょっと目を離すとこれだ。姉様に抱きつくのは禁止だって言っただろう、この馬鹿犬」
両手を広げ、わたしに抱きついてこようとしたラスティの首根っこをつかみ、ジェレミーは呆れたように首を振りました。
「ちょっとくらいいいじゃんか、ケチッ!」
「……ラスティ?」
「す、すみません。以後気をつけます……」
ふぬん? ジェレミーには口ごたえ出来るラスティも、ニールの冷気の籠った視線には抗えないようですね。青くなって震えてるですよ、ラスティ。
さすがツンドラニールの異名にブレはないですな。
わたしとしては犬っころラスティに多少じゃれつかれたくらいでは今更何とも思わないのですよ?
ですが、紳士的な態度で女性にはレディとして接する必要がある、ということはわたしにとってもラスティにとっても大事なことだと言われれば、それもそうですな、と思いますし。
……ラスティ、ドンマイ!
「でもまあ姉様の機嫌が直ってよかったよ。意地悪で言ってたんじゃなくて、心配してたんだって、それだけはわかってね?」
うう。
可愛い義弟に覗き込まれるようにそう言われれば、お義姉ちゃんは弱いのですよ……。
「はいです。心配させて悪かったのです」
「エレナの機嫌も直ったことですし、先ほどのお話の続きでもしましょうか。エレナ、あなた、来月のダンス・パーティは何か考えてらっしゃって?」
「ダンス・パーティ?」
フィル様のその言葉にわたしは首を傾げました。
終わらせるにもまだ中途半端なので頑張ります。
取りあえずはミニテーマ・ダンスパーティ編、ということで。
次回もお願い致します。




