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第二十二章

 今から七年前。エルフの里にリラという少女がいた。彼女はエルフ族の中でも身長が一番低かった。年々成長していく周囲の反応は、伸び悩んでいたリラに対して冷たい反応しかしない。

 ある日、リラは一人で魔法卯を練習していると、変化が起こった。単なる火を灯す魔法が、火の玉へと変わってしまったのだ。それから、彼女の魔法は攻撃的なものへとなっていく。彼女は、すぐさまその事を母親に相談した。彼女の魔法を見た瞬間、母親の表情が強張った。そして、いきなり少女の顔を叩いた。

『……呪われた子……』

 呟かれた言葉と共に恐怖の色が、その顔に現れていた。

 記憶は断片的に流れていく。そうして、リラの記憶を覗いていくうちに、引っ掛かっていた謎が解けていった。

 彼女の十二歳目の誕生日の夜。一族の大人たちだけの会議が行われた。子供たちは寝静まっているはずの時間帯で、リラはその会議を盗み見ていた。それは母親から叩かれた日から行い始めたことだった。自分の身が危険だと、どことなく感じていたからこその行動だった。そして、あの言葉を聞いてしまったのだ。

『エルフの魔法が変わった者は心が醜い証拠。心の醜さは一族に不幸をもたらし、いつしか反逆の道へと進んでいく。牙を向く前に捕らえるのだ。そして、極刑を与えよ』

 リラは長の言葉を聞いてしまったのだ。魔法が変わってしまってから七年目の月日が流れても、一族の態度は冷たいまま。ずっと孤独に耐えていた彼女を突き放す言葉を、心を壊してしまうような決断を、聞いてしまったのだ。危険と確信してしまった彼女は、十二歳となったその日の夜、里を抜け出した。


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