アタオカTS転生令嬢ダンジョンスプラッター
チ チチリ テ リリ リ チ チチリ テ リリ チ ——
ダンジョンの洞穴に響く。
金属棒を引きずる音。
アタオカ血塗れ令嬢のお通りだ。
俺、青鷹弾児アオタカ・ダンジ。
高校2年の夏、ノーヘルバイクでスイカ畑に突っ込んで多分死んだ。
目覚めたら異世界へ転生していたんだ。
武器を担いでダンジョンへ潜り、モンスターを狩る世界だ。
そこで貴族令嬢と言うのになってしまった。
チ チチリ テ リリ リ チ チチリ テ リリ チ ——
名をケラフィム・バッケンレコード
仇名をアタオカ血塗れ令嬢と言う。
理由はコレだ。
うがぁあああああああ!
棘付きの愛棍、命名スプラッターを振り回す。
パッキャン!
軽い音を立ててスイカが吹き飛ぶ。
赤い果肉と果汁が飛び散った。
かぐわしき甘い香りが辺りに漂う。
今叩き割ったばかりのスイカを拾い、今日初めての食事にありつく。
緑と黒との内側にあかく、みずみずしい果肉を夢中でむさぼる。
シャクリ シャク シャク シャク——
渇ききった喉を癒す甘い香り。
くちからあふれ零れ落ちる果汁
ガツガツと丸々1個を食べ尽くし、やっと人心地がついた。
ほとんど1日ぶりの食事だ。
俺はスイカしか食えない。
多分頭がイカれてるんだと思うが、どうしょうもない。
チ チチリ テ リリ リ チ チチリ テ リリ チ ——
スプラッターを引きずりながらダンジョンを出る
みちゆくスイカどもが、黒と緑の丸い頭を引きつらせながら道を空ける。
ダンジョンへ入りスイカ1個を貪り豪邸に帰って寝る
コレが俺の日課、生きるためのルーティーン。
ダンジョン以外の所でやったら――。
だめだ、怖くて考えたくない。
専用の送迎馬車まで歩き、乗り込んでその場で倒れこむ。
腹いっぱいで寝られる貴重なひとときだ。
伯爵家の別宅でシャワーを浴び、身体にこびりついた果汁と果肉のかけらを流す。
本家には帰ってくれるなと厳命されている。
我ながらいいプロポーションだと思う。
前世ならこの姿を見ながら何度かティシュを使うだろう。
まぁ今は自分の身体だからどうにもならんがな。
バイクで突っ込んだスイカ畑、ノーヘルでスイカに頭突きした瞬間が前世の最後の記憶。
チ チチリ テ リリ リ チ チチリ テ リリ チ ——
俺はアタオカ血塗れ令嬢。
スイカしか食べられない女だ。
夏なのではじめてホラー書いてみました。
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