表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/53

第52話 地上での異変

 目が覚めると、超高い天井があった。

 それはクラーケンが居たボス部屋の天井。眠っていたのにも拘らず、この命が尽きていないということは、ゴン太の“狐火”はクラーケンを一撃で倒したのか。


「ゴン太、ありがとな」


「コン!」


 上半身を起こし、隣にいたゴン太の頭を撫でながら褒める。

 近くにはたぬ吉もタマも、亀之助も元気なままだ。


 だが勝利したというのなら、何故俺は意識を失ったんだ? 確か頭部に走った衝撃と共に意識が暗転したが、既にゴン太の力によって治っているため、その衝撃が何を要因としたものなのかが分からない。


 その要因を探すため、周囲を見渡す。これといった物は見つからない……あっ、きっとあれだ。目にした瞬間、そう思うほどに適当な物が近くに落ちていた。


 魔石と巨大な蛸足。

 それはクラーケンが落としたドロップアイテムだろう。そして空中でクラーケンが絶命したことにより、ドロップアイテムは重力に従って、俺の頭部に落下した……ってのが一番あり得そうだな。


「よし、持ち帰ってギルドに報告しに行くぞ」


「コン!」


「ポン!」


「ニャン!」


「カメ!」


 ボス部屋中央にある宝箱を開き、転移用の魔法陣に乗る。

 再び目を開けると、ダンジョンの入口に立っていた。安全面を考え、亀之助を先に脱出させる。亀之助の力がなければ、この先にあるのは海中だからな。

 そして少し遅れて俺たちもダンジョンから出る。

 刹那、ダンジョンの中で県外となっていたスマホが鳴り出す。


「Jアラート……――ッ!?」


 それは緊急事態を伝える音だった。

 その内容は、北海道全域で発生したスタンピードを伝えるもの。一般市民の避難勧告と、冒険者に対する一部スキルの使用を許可すると書かれていた。


 空から聞こえて来た音に、顔を見上げる。

 

「――!!?」


 そこには空は己の物だと言わんばかりに自由に飛ぶ魔物が居た。

 ワイバーンと呼ばれるそれは、強固な緑色の鱗が張り巡らされた巨躯、それに見合う巨大な翼、爬虫類のような身体つきをしている強力な魔物だ。


 それが地上の空を飛んでいる。つまりワイバーンクラスの魔物が、大量の地上へと解き放たれていると同義である。


「……」


 俺の意図を理解してくれたようで、ゴン太たちも息を殺してワイバーンが居なくなるのを待つ。

 今の俺たちではバレた時点で死は免れない。それほどまでに、圧倒的な力の差がある。


「――」


 見られた。

 全身から汗が吹き出し、震える。逃げようにも、身体が硬直して動ける気がしない。まさに今の俺たちは蛇に睨まれた蛙だ。


 だが偶々見逃してくれたのか、雑魚は眼中にないのか、どちらにしてもワイバーンは飛び去って行った。


「はぁはぁ、早く地上に行こう」


「コン」


「ポン」


「ニャン」


「カメ」


 そう口にしても、亀之助の足の遅さに合わせて、海底を進んで行く。

 そして数十分かけて、地上へと戻って来た。そこに広がっているのは地獄そのものだ。大量の魔物たちと、人だったと思われる肉塊がそこかしこに散らばっている。


 人口比的に、北海道には大量の冒険者が居たはずだが、ここまでされるのか。


「取り敢えず、“函館ギルド”に向かうぞ」


 ギルドに行けば、ある程度の防衛拠点が作られているはずだ。

 そこで防衛を続けつつ、Sランク冒険者がやってくるのを待つ。これが最善の生存策のはずだ。


「……チッ」


 息を潜めて魔物に支配された街を進んで行ったが、曲がり角に居たゴブリンに気付かれてしまい、俺たちに気付いた魔物たちが雪だるま式に増えて行った。


「逃げられないよな」


 凜々花が居ればと思ってしまうが、後悔したところで現状は変わらない。今考えなければならないことは、どうやって大量の魔物による包囲網を抜けるかだけだ。


「タマ、頼めるか?」


「ニャン!」


 三味線による斬撃が、周囲の魔物へと襲い掛かる。

 大量のゴブリンを倒すことに成功したが、ゴブリンの上位種と思われる一回り程大きいゴブリンたちは倒れていなかった。それどころか、表皮を斬った程度に終わってしまう。


 あれはホブゴブリンだ。

 ゴブリンキングやゴブリンエンペラーよりかは確実に弱い種だが、タマの音の斬撃やたぬ吉の“湧沸”ではまともなダメージは与えられないだろうな。

 ゴン太の“狐火”で倒すのが最適なんだろうが、ギルドまでまだまだ距離があることを考えると、あまり使いたくない……が、そんなこと考えてられないか。


「ゴン太、“狐火”を頼む」


「くーん?」


 ゴン太は『大丈夫?』とでも言いたいような顔で、首を傾げながらこちらを見て来る。だが、それが最適解なはずだ。

 俺は自分の判断を信じ、強めに頷いた。


「コン!」


 そして“狐火”が射出される。

 迫り来る“狐火”に対し、逃げようとしているホブゴブリンたちだったが、周りを囲む魔物たちによって、逃げ場はなかった。着弾と同時に魔石へと変わり、奥にいた魔物の姿を見せる。


「……マジか」


 そこにはゴブリンキングの姿が見えた。

 それも一体だけではない。十数体のゴブリンキングが、俺らを囲むホブゴブリンを外からさらに囲んでいた。



【ダンジョン嫌悪派】によって引き起こされたスタンピードが始まりました。


ブックマークと★★★★★をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ