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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第45話 【ジャスケダンジョン・二階層】

 再び俺たちは【ジャスケダンジョン】へと来ている。

 できるだけ消耗を避けながら、二階層の階段まで辿り着いた。


「ここから先、俺たちにとっては未知の領域だ。今まで以上に警戒を強めていくぞ」


「はい」


「コン」


「ポン」


「ニャン」


 俺の警告に、場の空気が引き締まる。

 そんな状態で階段を抜け、広がる森林を目にした。


「……【ジャスケダンジョン・二階層】」


 ダンジョン内の様子は変わらない。若干地面から伸びる草むらが、少し高いかもと思う程度の差異しかない。


「じゃあ凜々花、【気配察知】の常時展開を頼むぞ」


「はい」


 地面を踏みしめる。

 広がる湿った落ち葉による絨毯は、油断していると足が取られそうになってしまう。普通に進む分には問題はなさそうだが、戦闘が激化した際に足を滑らせてしまいそうだ。


「足元を注意しろよ」


「コン!」


 返事をしたのはゴン太だが、全く転びそうな気配はない。こういった時、四足歩行ってのは有利に働くよな。まあ二足歩行には両手が自由になるってメリットがあるわけで、わざわざ四足歩行で生きていきたいとは思わないが。


「来ます!」


 凜々花の声に、一層引き締まる。

 視線の先にある揺れる草むら。俺たちの視線を集める魔物、その正体は猿がモチーフになっているであろう魔物、“フォレストエイプ”だ。


「俺が前衛を張る!」


 一歩前に出る。刹那、メジャーリーガーのような剛腕から石が投げつけられた。事前にその行動を知っていなければ、避けられなかっただろうが、俺たちは事前調査によって知っている。

 飛んできた石を剣で弾き、後衛であるゴン太たちの攻撃を待つ。


「コン!」


「ポン!」


 “狐火”と“湧沸”が、フォレストエイプへと襲い掛かる。

 猿は器用に木々をぶら下がりながら逃げているが、“湧沸”の追跡能力を超える機動力は持っていないようで、段々と距離は詰まっている。そしてその時を迎えた。


「やっぱり一体だけであれば、簡単に倒せるな」


「そうですね。私たちの地力があれば、孤立した敵に負けることはないと思います」


「問題があるのは複数体を前にしt「――来ます!!」」


 ずいぶんとタイムリーなタイミングだな。

 揺れる茂みから姿を見せたのは、五体のフォレストエイプたち。既に投石モーションを取っている状態。つまり攻撃が来るってことと同義だ。


「避けろ!!」


 警告に遅れて、五つの石が飛んできた。

 避けたことで、身体に着弾することはなかったが、地面に着弾して砕け散った石の破片が、足に突き刺さってしまう。


「うっ――」


 激痛が走るが、止まってはいられない。

 既に猿たちは投石モーションを始めており、早く逃げなければ、着弾すると砕け散るほどの速度で投げられる石が、身体に着弾してしまう。


「させない!」


 凜々花が駆ける。

 猿たちは接近を許さんと、投石の標的を凜々花に集中させる。だが凜々花には遠距離攻撃がある。


「はぁぁ!!」


 急停止、そして勢いのまま剣を振り上げた。

 発生した斬撃は、濡れた落ち葉を切断しながら猿たちへと迫る。投石がぶつかろうと、その勢いが衰えることはない。そのまま斬撃は猿たちへと迫り、そして身体を切断した。


「はぁはぁ」


「ありがとう、凜々花ッ」


 凜々花へと駆け寄ろうとしたが、足に走る激痛のせいで立てなかった。立つことすらできないほど激痛。見た目以上に深く刺さってしまったみたいだ。


「無理しないでください」


「コン!」


 逆に凜々花とゴン太たちが駆け寄ってきた。

 そして石が突き刺さった太腿へと、ゴン太が乗っかる。本来激痛が走りそうな行動だが、感じるのは心地よい温かさのみだ。


「――」


 患部は見えないが、太腿の内部にあった異物感が抜けていくような感覚に襲われる。変わらず痛みは感じず、少しくすぐったいだけ。やっぱりゴン太の能力は規格外だな。


「ありがとなゴン太。もう立てるようになった」


 痛みも違和感もなくなり、ゴン太の頭を撫でながら立ち上がる。

 そして軽くジャンプをしてみせて、元気であるということを凜々花たちにも伝えた。


「どうしますか? 治ったとはいえ、いきなり全力で動くのは身体に悪いと思いますけど」


「うーん、一切違和感はないから、変わらず動かせると思うが、取りあえず階段を探さないか?」


「そうですね。階段を探して、三階層への挑戦は、明日以降にしましょう」


 その後何度かフォレストエイプの群れとの戦闘を重ね、ようやく三階層へと繋がる階段を発見できた。


「なあ、これが何か知ってるか?」


「……何でしょう?」


 階段に置かれたお香のような物。

 既に火がつけられ、発生した煙が物理学に反して下の階層へと吸い込まれるように流れていた。


「「「――」」」


 ゴン太たちが毛を逆立て、俺の手の中にあるお香を睨みつけている。詳しくは分からないが、魔物にとって良い物ではないのだろう。


「忘れ物かもしれないが、消しちまうか」


「そうですね。魔物に対して、余計な興奮を齎すのは、所有者も本望ではないでしょうしね」


「たぬ吉、“湧沸”を頼む」


「――」


 興奮はしているが、力を行使する理性は残っていて良かった。たぬ吉が発生させたお湯によって、お香は鎮火した。


「じゃあ帰るか」


「はい、帰りましょう」



 ――ジャスケダンジョン・二階層 ???side


「消されちまってるな」


「気付いてか、気付いていないのか……いや、どちらにしても消した奴にはお返しをしてやらねえとな」


「そうだな」


「界隈では有名みたいだからな……行動範囲も狭くて分かりやすい」


 ポケットから取り出されたスマホには、男たちと共に戦っている男の写真が映っていた。



不穏なラストでした。


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