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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第43話 揃う

 車中で鑑定の結果について話し、【アニメックスダンジョン】へと来ている。【長谷部(はせべ)】についての検証と、俺が手に入れた【シンクロ】スキルの詳しい能力について調べるため、一階層の探索を行うこととなった。


「じゃあゴブリン相手に、試していくか」


「はい……曲がり角から来ます」


「【シンクロ】の検証から行くか」


 身体の中に眠る【シンクロ】の力に触れる。

 刹那、身体が勝手に動く。と言っても意識外の頭が理解し、身体を動かしているだけであって、スキルに身体を操られているわけではない。


「“狐火”」


 ポロっと口から漏れ出た言葉。

 それはゴン太の力を象徴する力、俺が冒険者を始めるきっかけとなった能力、魔物が持っている異能だ。

 

 突き出した掌の少し先、小さな火の玉が発生した。本来の使用者であるゴン太には遠く及ばないが、それでもゴブリンを倒すには足るサイズだ。


「行け」


 俺の言葉に従って、“狐火”が照射された。

 スピードもまた遠く及ばずとも、ゴブリンの反応速度では避けられない程度には速い。


「グギャ!?」


「はぁはぁ」


 着弾した。

 予想通り、一撃でゴブリンを倒すことができた。しかし体力の消耗は激しいな。小さな“狐火”を一度使っただけで、ここまで呼吸が荒くなってしまう。慣れるまでは、ピンチの時くらいしか使えなさそうだ。


「ふぅ……次は【長谷部】の検証だな」


「はい」


 剣は凜々花が使うことになった。

 今のところ俺の方が剣の使い方は優れているが、凜々花に【剣術】スキルがある以上、最終的には凜々花の方が上になると考えてのことだ。


「じゃあ見守っていてください」


「ああ。もしピンチになったら、助けに入る」


 凜々花はゴブリンの方へと駆け出した。

 剣先は地面スレスレを通り過ぎ、剣を振り抜くと同時に砂埃を舞いあげる。ゴブリンまではまだ距離があり、到底剣身が届くはずがなかったが、ゴブリンの身体に斬撃が走った。

 一撃でゴブリンは倒れ、魔石へと変わる。倒した張本人である凜々花は、肩で息をして、疲れている様子だ。


「大丈夫か?」


「は、はい。これは重たい剣を持って走ったからで、【飛ぶ斬撃】を放った疲労は、そこまでないです」


「なるほど、威力も燃費もいいのか……だいぶいい剣だな」


 この【長谷部】に【剣術】スキルがあれば、凜々花は俺を遥かに超える前衛になるのは確実か。問題は、【ジャスケダンジョン】でも通用するのかどうかだ。

 

「今日はここで終わりにして、明日から【ジャスケダンジョン】攻略を本格的にしていくぞ」


 あれからゴブリンと数戦を経て、ダンジョンから撤退した。そのため魔石はあまり稼げなかった。そもそも今日の目的は能力の調査。端からお金を稼ぐつもりはなかったため、特に落ち込むことはない。


「落ち込まないでください。一階層でお金は稼げないって、分かっていた事じゃないですか」


「ああそうだな……」


 落ち込んでなんかいない。

 万年金欠で、今回は入院費もあって、今日の夜ご飯すらもままならないからって、落ち込んでなんかいない。


「夜はウチで鍋でも食べましょう」


「頼む」


 落ち込んでいない! そして喜んでもいない!

 いくら夜ご飯にあり付けたからって、喜ぶなんて歳じゃないからな!


「ただ具材が足りるか分からないので、スーパーに寄ってもらってもいいですか?」


「分かった」


 そしてスーパーで買い物を終え、凜々花の家へとやって来た。

 凜々花が料理を作っている間、俺は【ジャスケダンジョン】について調べていた。


「うーん何々、『現在【ジャスケダンジョン】では魔物の増加傾向が見られている』か。お金を稼ぎたい側からすると嬉しい傾向だが、何か裏を感じて恐怖も感じるな」


「何か重要そうな情報は得られましたか?」


「少しな」


 鍋を持った凜々花がやって来た。

 そして俺たちは茶碗に米をよそってから、再び席に着く。


「「いただきます」」


 相変わらず美味い。

 ゴン太たちも美味しそうに食べているから、俺の味覚に合っているとかじゃなくて、普遍的な美味しさなんだろう。まあゴン太たちの味覚が、俺に似ているって線も否定できないけど。


「魔物が増加……」


「そうだ。誤差と言うには、あまりにも増えすぎているらしい。一週間後に上位冒険者による探索隊が組まれるらしくて、その日から解決するまで立ち入り禁止になるって書いてあった」


「じゃあ……」


「ああ、一週間後までに稼ごう」


「分かりました。ゴン太くんたちも頑張ろうね」


「コン!」


「ポン!」


「ニャン!」


 ゴン太たちは口元を汚しながら、元気に返事をした。あまりに可愛らしい光景に、和やかな雰囲気が流れる。


「「ごちそうさまでした」」


 食事を終え、俺が食器を洗っている間は、ゴン太たちの相手は凜々花に任せている。


「今回は一階層だけだ。きっと変なことが起きることはないだろう……」



彼らはずっと金欠です。

危険だと分かっていても、お金稼ぎを優先してしまう程度には……


いえ、彼らはイカレているので、学びません。いくら危険な状況に巻き込まれようと、二度目はないだろうと楽観視しています。


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