第42話 成果
目覚めてから一週間が経った。
早い段階で怪我は完治していたが、リハビリが中々に厳しく、結局退院まで一週間の時間を必要としてしまった。
「よし、ギルドに行くか」
「はい!」
「コン!」
「ポン!」
「ニャン!」
こうやって返事を聞いていると、俺らも大所帯になったなぁと考えてしまう。戦力が大きくなるのは良いが、相変わらず食費の増加は頭を悩ませてくる。
「~~~」
凜々花を乗せても、関係なく俺の好きな音楽を流す。
よく聞いているゴン太たちはノリノリで音楽を聴き、凜々花も慣れたようで控えめに音楽にノっている。
「そういえば聞いていなかったが、凜々花が手に入れた戦闘スキルってどんなのなんだ?」
「私が手に入れたのは、【剣術】です」
【剣術】か。シンプルであるが故に、極めれば強力になるスキルだと言われ、上位スキルがあるとはいえ、Cランク冒険者になるには足るスキルと呼ばれている。
「いいな。【剣術】があれば、【ジャスケダンジョン】でも十分戦っていけるよな」
「はい! 索敵だけじゃなくて、直接戦闘も頑張ろうと思います」
タマと凜々花のスキル獲得……ダンジョン踏破とまでは行けなくとも、良いところまでは行けるはずだ。
その後、十数分の運転を経て、ギルドへと辿り着いた。
「じゃあスキルの鑑定と、その剣の鑑定をやりに行くか」
「はい、ゴン太くんたちも行こう」
「コン!」
「ポン!」
「ニャン!」
ギルドへと入る。
相変わらず細マッチョ冒険者が大半の“池袋ギルド”。受付でステータス鑑定と簡易鑑定の依頼を行い、待合席で番号を呼ばれるのを待つ。
「鑑定が終わったらダンジョンに行くのか、今日は休息日とするのか、凜々花はどっちがいい?」
「私はどちらでも良いですよ。悟さんは病み上がりなんですから、判断は任せますよ」
「……確かにそうだな」
俺の状態的に【アニメックスダンジョン】程度であれば、余裕持って進めると思うが、明日以降【ジャスケダンジョン】に挑むのであれば、今日は休息日にしてもいいと思う。
スキルと剣の鑑定次第で決めるのが最適解か?
「鑑定結果次第で決めよう」
「なるほど」
『――番』
「俺が行ってくるから、ゴン太たちを頼む」
「はい!」
凜々花とゴン太たちを置いて行き、案内された部屋の中へと入る。
そこには一人の職員が居るだけの、とても質素な空間だ。その職員は冒険者かと見間違ってしまうほどの肉体美を持ち、制服を着ていなければ、職員と言われても分からない外見だ。
「では簡易鑑定をする品物を出してください」
「この剣です」
鞘から少しだけ抜き、輝く剣身を見せてから渡す。
とてもシンプルな鞘、鍔と鞘の間から覗く人の目を引き込む黒き剣身。それはマッチョの職員が持つと小さく見えるが、凜々花にとって丁度いいサイズだ。
「この剣ですか。では鑑定を行いますので、少々お待ちください」
「分かりました」
再び待つ。職員は奥の部屋へと消え、一人残された俺は用意された椅子に座って待っている。
今回簡易鑑定を行うのは、異常ボスを倒した際に出て来た宝箱から出て来た剣だ。宝箱から手に入れた装備であろうと、人に悪意を持ったスキルが付いている可能性もあるため、使用の前に鑑定を行わなければならない。
「お待たせしました」
「大丈夫です」
「では、こちらが鑑定結果となります」
職員から紙を受け取り、目を丸くした。
銘 長谷部
スキル 飛ぶ斬撃
魔斬り
いくら異常ボスのクリア宝箱から出たとはいえ、三階層ダンジョンから排出された装備にしては、破格の性能だった。
まず飛ぶ斬撃。これは発見されていないスキルではあるが、名前から推測するに斬撃を飛ばせるのだろう。
そして魔斬り。これもまた発見されていないスキルであり、名前から推測しようにも何個か候補が生まれてしまい、詳しくは分からないスキルだ。
「一応マイナスな効果を帯びていないことが分かりましたので、ダンジョンでの使用許可書を出しておきますね」
「ありがとうございます」
「ではステータス鑑定に参りましょうか」
身体が椅子に固定される。
これが正式なステータス鑑定だとは思いたくないが、二度もやられている以上、これが正式な装置なんだろうな。
「こちらが鑑定結果となります」
椅子から解放され、凝り固まった身体を軽く動かしてから、紙を受け取る。そこに書かれていたスキルは、何となく予想していたものと似て非なるものだった。
種族名 人族
個体名 窪田 悟
スキル テイム
シンクロ
従魔 ・ゴン太
・たぬ吉
・タマ
想像していた再生系統のスキルではなく、効果の予想が難しいシンクロというスキルだった。しかし回復速度が上がったことから考えるに、従魔の力を使う……みたいな効果なんじゃないのかと予想している。
「失礼します」
俺は鑑定室を後にする。
鑑定用紙はポッケに仕舞い、別の冒険者に見られないようにしながら、凜々花の下へと戻って来た。
「おかえりなさい」
「効果とかは車で話すぞ」
「はい。ゴン太くんたち、帰るよ」
「コン」
「ポン」
「ニャン」
ギルド職員が全員マッチョって訳ではありません。
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