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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第39話 タマの力

 タマを仲間にした翌日、いつものように【アニメックスダンジョン】へと来ていた。キャンプ場ダンジョンと同じように、ホームダンジョンと呼んでも違和感がないくらいには、来ている場所だ。


「もしかしてゴン太くんもたぬ吉くんも、同じようにテイムしたんですか?」


「多少の違いはあるが、概ね同じ出会い方だな」


「おかしい……いや、初めての見つかったスキルだから、それが普通の可能性も……」


 凜々花がブツブツと何か言っているが、学者ってわけでも高ランク冒険者って訳でもないから、自己解釈のために言っているだけだろう。


「じゃあ今回も踏破を目指して行こう!」


「コン!」


「ポン!」


「ニャン!」


「はい」


 凜々花は若干テンションが低いが、ダンジョン探索に尾を引く理由ではないため、そこまで気にしなくていい。

 

「じゃあタマの実力を調べるために、ゴブリンを探すぞ」


「はい!」


「ナーン」


 物欲センサーのせいで時間が掛かると思っていたが、案外時間が掛かることなく接敵することができた。


「タマ、攻撃してみてくれ」


「ニャン!」


 タマが立ち上がった。比喩とかではなく、正真正銘二足歩行で立っている。しかし俺たちの視線を集めるのは、二足歩行になっている点ではない。


「ナーン」


 何処からともなく手にした三味線に視線が集まっている。

 青みがかった灰色――ロシアンブルーのような毛色とミスマッチな和の三味線、しかし何処か調和のとれた美しさを感じられた。そして爪を弦に引っ掛ける。


「ニャン!!」


 豪快にかき鳴らした。

 音が目に見える。比喩でも何でもなく、タマが三味線を奏でる度に、空気を裂く斬撃が発生していた。無秩序に放たれている斬撃のように見えるが、決して俺たちの方には飛んできていない。


「ニャン」


 ゴブリンを一撃で倒した後も続けられたタマの演奏だが、一曲終えたようで、ゴブリンが立っていた場所に向かってお辞儀をしている。紳士然とした振る舞い、タマは演奏者としての信念があるのだろう……分からないけどな。


「強いな」


「強いですね」


 何処から三味線を出したのかという大きな疑問を掻き消すほどに、タマは強かった。

 確かにゴン太もたぬ吉も、一階層のゴブリンを一撃で倒せていた。しかしタマの攻撃は、広範囲攻撃を軽くやってのけながら、一切の疲労を感じさせていない。持続性は一番と言っても過言ではない。


「タマはまだまだ行けるか?」


「ニャン!」


 タマの行けると言っているため、二階層へと足を進めた。

 二階層に居るのは錆びついた短剣を持ったゴブリン。ゴン太だけの時は脅威に感じていた魔物でも、今となっては流れ作業にしかならない。


「タマ、さっきのを頼む」


「ナーン」


 何処から三味線を取り出すのかを確認するため、タマの一挙手一投足を注視していたのにも拘らず、気付いた時には手にしていた。

 三味線の謎を解明することを早々に諦め、音による斬撃の観察に集中する。


「ニャン」


 弦を弾いた。

 鳴ったのは単音、それが斬撃として具現化し、短剣を持ったゴブリンへと襲い掛かる。ゴブリンも短剣を突き出して防御しようとしているが、努力空しく短剣ごと身体を切断されていた。


「二階層でも簡単にやれるのか……問題はボス相手だな」


「そうですね。ゴン太くんもたぬ吉くんも、普通の魔物たちは簡単に倒せていましたからね」


「よし、三階層に行くぞ」


「コン!」


「ポン!」


「ニャン!」


 ゴン太もたぬ吉も居る。

 それに加えてタマも居る。前回のように苦戦することはないはずだ……いや、この考えがダメなんだよな。何事においても絶対はない。イレギュラー、ヒューマンエラー、何が起きるかが予想できない以上、傲慢な考えは止めておこう。


「降りるぞ」


 手分けして短剣持ちゴブリンを倒して進み、三階層へと繋がる階段へと辿り着いた。以前のような躊躇はなく、軽い意志で階段を降りていく。


「よし、多少のお金を稼ぐためにも、剣持ちゴブリンを倒しまわってからボス部屋に行くか」


「確かに、タマくんが増えたことで、生活費は高くなりますもんね」


「ゴン太たちも大丈夫か?」


「コン」


「ポン」


「ニャン」


「良さそうだし、ゴブリンを倒して回るか」


 その後、剣持ちゴブリンたちを倒して回った。

 そして俺たちは大量の魔石を手に入れたという結果を出した状態で、【アニメックスダンジョン】最奥、ゴブリンキングが居るボス部屋の前に立っていた。


「ふぅ、イレギュラーなんて起きるわけないだろうが、念のため気を引き締めていくぞ」


「はい、ダンジョンでの異常(イレギュラー)が起こる確率なんて、宝くじに抽選するよりも低いって言われてますからね」


「よし、開けるぞ」


 扉を開いた。

 そこに広がるのは、今までと変わらない開けた空間。


「――異常(イレギュラー)です!!」


 凜々花の叫びが身体を引き締めさせる。

 気配を感じ取れる凜々花がいち早く気づいた、ボス部屋中央に鎮座する異様な存在。ゴブリンという種族の頂点、皇帝の名を冠するゴブリン族最強の一角。


「ゴブリンエンペラー……」



ゴブリン異常(イレギュラー)とは、《《何らかの要因》》でダンジョンに異常が起きたことを指します。


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