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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第33話 熱を持つ風呂

 俺は今、何をしているのだろう。

 肌から感じる熱量的に風呂内ではない。そして視界は変わらず真っ暗なままだ。フワフワとした感触……これは頭の上にゴン太が乗っている感触だと思う。


 しかし頭の下に感じる、この柔らかい感触はなんだ? 俺が社畜になってからは感じたことのない柔らかさだ。


「ゴン太……退いてくれ」


「コン!」


 やはりゴン太だった。

 頭の上からゴン太が退くと、眼前に広がるのは美しい顔。未だに覚醒し切らない意識の中、目の前にある美しい顔は衝撃的な光景をフラッシュバックさせる。


「――」


 飛び起き、ダンジョン探索時以上のスピードで距離を取った。

 その際にあれがブラブラする感覚が襲ったが、目の前の美しい裸体が、その感覚を忘れさせる。


「な、なんで裸なんだ!!」


「その発言はブーメランになるぞ」


 明智はこちらを指さしながら言う。

 指摘されてようやく自分も裸であることを自覚し、慌てて服を取りに行く。そして明智に背中を向けながら服を着ているにも拘らず、目に焼き付いたそれが頭にこびりついて離れない。


「もう着たのか!」


「ああ」


 恐る恐る振り向く。

 そこに居る明智は服を着ていた。至極当然なことなはずなのに、彼女はそうではない可能性の方が高いと思ってしまっている。


「ふぅ……どうして服を着ていなかったんだ?」


「理由は分からないが、きっと私のせいで気絶した君を地面に寝かせるのは忍びないと思ってね」


「……服を着てからでもよかっただろ」


「そこは君が着ていないのに、私だけ着るのは不公平だからな」


 こいつもイカレ側の人間。 あの医者とは違う方向で常識を知らないイカレ冒険者だ。


「そうか、色々ありがとう」


「構わん」


「じゃあ帰るから」


「まあ待て」


 そのまま大浴場を後にしようとしたが、肩を掴まれて止められてしまう。一度は無視して突き進もうとしたが、冒険者としての格が違った。全く身体が前へと進まない。

 仕方なく振り向き、明智の方を見る。彼女の瞳からは一切悪意など感じられない。


「なんだ?」


「湯冷めしているだろう。もう一度入ろうではないか」


 ……イカレてんのか。

 いや、イカレていることは知っている。だが、イカレ度合いで、あのイカレ医者を学生を追い抜くプロ陸上選手が如くスピードで追い抜いていった。


「おかしいだろ。俺は男、お前は女だろ」


「これがある以上、私は女風呂には入れないだろ」


 明智は服の上からでは分からないそれを指して言った。

 指を指さないでくれ。先刻のあれを思い出すだろ。


「まあ確かに。だがわざわざ深夜を選んだんだ。女湯でも大丈夫だろ」


「それは念のためだな。君みたいな事例がないとは言い切れない」


 確かに……いや違うだろ。


「じゃあ俺という事例がある以上、男湯もダメだろ」


「大丈夫だろう。これが目立って、よく見なければ女であることは分からない。実際、君もまじまじと見るまで分からなかっただろ?」


「……確かに」


 何故だ!

 絶対にこっちの言い分の方が正しいはずなのに、段々と丸め込まれていく。これが先輩冒険者との格の違いなのか!?


「納得したのであれば、一緒に入ろうではないか」


 数分後、俺たちは湯船の中に隣り合って座っていた。

 おかしいな。俺の防御は完璧だったはずなのに、気付けば隣り合って湯船に入っている。


「温泉は気持ちいいな」


「そうですね」


 必死にゴン太とたぬ吉に視線を固定させることによって、隣の明智を意識しないようにしている。少しでも意識すれば、何処にとは言わないが視線が揺れ動いてしまう。


「その子たちは君の従魔なのだろう?」


「は、はい。ゴン太とたぬ吉です」


「コン!」


「ポン!」


「ゴン太くんとたぬ吉くんか……」


 明智は手を伸ばして、ゴン太たちを撫でようとする。

 背が小さい彼女は、若干立ち上がって撫でようとしたため、水面が揺れた。直ぐに目を逸らしたが、先刻のあれがフラッシュバックしてしまう。


「……もう温まったし、帰るよ」


「そうか。それは残念だ」


 今度は引き留められることもなく、大浴場を後にできた。

 その際、裸を見られていることを気にしなくなっていた……人の慣れって怖いな。


「ただいま」


「おかえりなさい。遅かったですね」


 新婚夫婦みたいな掛け合いをしてしまったが、ツッコミをしている余裕はない。

 明智という凜々花以上にイカレた人の相手で、だいぶ疲労が溜まっている。


「……明日は本格的にダンジョンへと挑もう」


「はい、頑張りましょう」


「俺は寝るから……凜々花も早く寝ろよ」


「はい、おやすみなさい」


「ああ、おやすm――」


 言葉を言い終わるよりも早く、意識は暗転してしまった。


「――」


 凜々花が何か言っているよう気がするが、既に睡眠へと入ろうとしている意識では、聞き取ることはできない。

 


明智は両性を持ったことにより、男女の境が曖昧になっているので、相手が男女関係なく身体を見られることに抵抗がありません。


やっぱり変な人ですね。


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