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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第18話 狸

「ふぅ……ゴン太、美味しいか?」


「コン!」


 突然だが、俺はキャンプに来ている。

 【アニメックスダンジョン】をクリアした際に得た収益で、借金を完済することができた。そのお陰で、キャンプに来れるだけの余裕ができて、あのゴン太と出会った【キャンプダンジョン】に来ている。


 ちなみにこのダンジョンは、土地の所有者がダンジョン発生と共に権利を放棄したため、ギルド所有の公共ダンジョンとなっている。俺がキャンプしていたことから、【キャンプダンジョン】と名付けられたらしい。やっぱりギルドって適当だよな。


「今回は大量に食材を買って来たから、存分に食べていいぞ」


「コーン!!」


 ダンジョン内にも拘わらず、こんなに油断してキャンプをしているのは、このダンジョンは珍しく魔物が()()湧かないダンジョンだからだ。

 これはギルドの調査員が導き出したものであり、十分信頼に値する情報だから、俺たちは優雅にキャンプができている。


「まあゴブリンは湧くらしいから、もしもの時は頼むな」


「コン!!」


 ゴン太の頭を軽く撫でると、嬉しそうに掌に擦りつけて来る。

 やっぱりこうやって緩くキャンプするのが、俺には合っているな。あんな風にダンジョンで死闘を演じるなんて、もう一生したくないな……まあ生活費を得るためには、ある程度ダンジョンに挑む必要があるんだが……今考えるのは止めよう。


「よし、じゃあ気持ちを切り替えて、高い肉を焼いていくぞ!!」


「コーン!!」


 流石のゴン太も嬉しそうだ。

 この肉を買ったせいで、ダンジョンに行かないと苦しい生活になることが決まってしまったが、後悔はしていない。


「流石、高い肉ってだけあっていい匂いだ」


 周囲へ肉の匂いをバラまいているが、ゴブリンしか湧かないダンジョンである以上、特に気にする必要はない。ただあの臭いゴブリンのにおいが近付いて来るのは嫌だから、もし来るのであれば、早めに仕留めたいな。


「よしそろそろ焼けるぞ」


「コーン!」


「ほら食べな」


「コン!」


 ようやく焼けた高級焼き肉をゴン太にあげ、俺も口へと放り込む。

 舌の上においた傍から肉そのものの旨味が広がり、それを噛めば噛むほど口の中で爆発的に広がっていく。これが高級肉ってことか。

 箸が止まらないが、ゴン太に渡すことは忘れない。


「最後の二つか……ゴン太、一つ食べていいぞ」


「コン!」


 取りあえずゴン太に肉を渡して、俺も最後のお肉を楽しむとするか。

 そう思い、肉を箸で掴んで、タレへと潜らせる。最後の肉だから大切に味を纏わせ、口元へと運ぶ。あと少しで口に辿り着かんとしていた時、森が騒めいた。


 社畜として、そして冒険者として培ってきた生と死の際に対するライン引き、それが騒めきに反応してしまい、箸が揺れる。


「危ねぇ」


 失敗の経験は、忘れないからな。

 前回ゴン太と出会った時は、肉を箸から落としてしまったが、今回はギリギリのところで立て直すことができた。


「ふぅ、改めていただきます」


 箸を口元へ……


「ポン」


「あっ」


 森から聞こえて来た鳴き声に、箸から肉が落ちてしまう。

 絶対に鳴き声のことを警戒すべきなんだろうが、落ちる肉から目を離すことができない。落ちる肉は、俺の瞳にスローモーションで映り、落下の様子が瞳に焼き付く。


「だが!」


 今の俺はダンジョン探索を終えた男、この程度の落下なら取りに行けるはずだ!

 

 腕を伸ばし、落下する肉を箸で採りに行く。そして地面スレスレのところで箸が届いた。


「あっ」


 しかしエイムが悪く、箸で落下した肉を掴むことができなかった。

 それと同時に、落下した肉に駆け寄ってくる存在が視界に映る。


「――」


 唾を呑み、ゴン太を冷静にさせる。

 目の前に居るのは、報告にあったゴブリンではない。出会った時のゴン太と同じような体躯、背中に背負った急須のような物、丸みを帯びた身体、魔物の狸だ。


「――腹が減ってるのか?」


「ポン」


 悩む。

 ここで餌付けをしてしまえば、テイムしてしまう可能性がある。もしテイムをした場合、俺の懐事情がさらに悪化する可能性が大。確かに戦力面では役に立つのかもしれないが、どうなるのか分からないギャンブルはしたくない。


「ぽん?」


 目を輝かせながら、首を傾げてこっちを見るのを止めろ。俺の鋼鉄の意思が折れちまうだろ。


「……」


「……」


「……」


「……はぁ、落ちたので良ければ、食べてもいいぞ」


「ポン!」


 狸は肉へと必死にかぶり付いている。

 小さい動物が必死に食べている様子は、かなり可愛らしいな……って最近同じことを考えたような気もする。


「撫でていいか?」


「ポン」


 ゴン太と違って、狸は食事に夢中でも返事してくれるのか。

 てか、もうすでに絆されているな。はぁ、お金が足りないなぁ。


「コン!!」


「ゴン太も撫でてやるから」


 ……明日からまたダンジョンに行くか。

 火の後始末を終え、寝袋の準備をする。


「狸も適当にしてくれ」


「ポン!!」


 ゴン太も狸も寝袋に入って来た。

 こんなフサフサで眠られ――



 やっぱり熟睡だったな。

 

「じゃあ狸、俺らと一緒に来るか?」


 俺は狸へと手を差し伸べる。

 狸は首を傾げながらも、手を置いてくれた。


「よし、今日からお前はたぬ吉だ」


「ポン!!」


『魔物との繋がりを観測しました』


 じゃあ明日からダンジョン探索を頑張るか。



新たな仲間、狸のたぬ吉です!!


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