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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第17話 決着

 ゴブリンキングの背中側に立つゴン太。

 俺と目を合わせたまま、押し返そうとしてくるゴブリンキング。


 俺が耐えれば耐えるだけ、ゴン太に猶予が生まれる。


「俺みたいなおっさん相手に、こんなに時間を取られるとは思っていなかっただろ」


「グギャ!!」


 できるだけ煽って、ゴン太に意識を向けさせないようにしないと。

 まだまだ時間的には足りないはずだ。時間を稼げば稼ぐほど、勝率は上がる。


「――ッ!!」


「グギャァ!!!」


 ゴブリンキングの力が増したのか、もしくは俺の身体が限界を迎えているのか、段々と押し返され始めている。

 全身の骨が軋み、筋肉が断裂しているブチブチって音が聞こえるような気がする。もう俺に残されている時間はない。あとはどれだけの時間、耐えられるか――


「クソッ」


 限界で足の力が抜けて、一気に押し込まれてしまった。

 もう限界か。ダメージ量的には不安な時間しか稼げていないが、もう無理だ。


「グギャァッ!?」


「――」


 ゴブリンキングのうめき声に、思わず顔を上げる。

 そこにはゴブリンキングの脇腹に剣を突き立てている凜々花の姿があった。


「凜々花……」


「悟さんをここまで追い込んだ張本人が動かずにいたら、人として終わっちゃう気がするから!!」


 あれほど戦闘を避け続けていた凜々花が、危険を顧みずに剣を突き刺しに来るなんて……これは信頼するに値する相手だよな……。


 俺は震える足に力を籠め、残った体力全てを注ぎ込んで立ち上がる。

 ゴブリンキングも痛みを感じているようで、こちらに掛かっている力は僅かに弱まっていた。今の状況であれば若干だけだが押し戻せる。


「このまま……押し込んでやる!」


「はぁぁぁぁ!!!」


「はぁぁぁぁ!!!」


 俺と凜々花は全力で剣を押し込む。

 俺の剣はゴブリンキングの大剣を押し返そうとし、凜々花の剣は脇腹の傷を広げんとする。


「グギャァ!!!」


「凜々花!!」


 彼女の身体を掴み、後ろへと飛び退く。

 刹那、巨体から放たれる足払いが元々凜々花が立っていた場所を通り過ぎた。


「ご、ごめんなさい」


「いや、俺も限界だった。あとはゴン太に任せよう」


 その言葉を聞いて、ゴブリンキングも気付いたのだろう。

 こちらから視線を外し、慌てて振り向いていた。


「これでダメなら、挑むべきではなかったのだろう」


 ゴブリンキングが向いている先、俺たちからは見えないが、そこにはゴン太が立っている。その証拠に、空中で浮遊している火の玉がある。それもゴブリンキングの巨体を優に超える巨大な狐火だ。


 狐火が放つ輝きは太陽を想起させ、親のような温もりを感じられる。

 それは俺たちにとってであり、敵対者であるゴブリンキングには熱の塊に過ぎないのだろう。その証拠に、ゴブリンキングの身体からは大量の汗が流れている。


「どうしてゴブリンキングは、あれだけ大きな火の玉に気付かなかったんですか?」


「俺とゴン太で挟撃を行った時、アイツは火の玉を背中で受けていた。あれが背中側の感覚を殺していたってことだ」


「最初からの積み重ね……」


「まあそんな意図はなかったけどな」


 俺たちは痛む身体を庇うように、寄り添ってゴン太の雄姿を見送る。

 巨大な火の玉はゴン太の頭上を離れ、ゴブリンキングの下へと進んで行く。その速度は極めてゆっくりだが、巨大すぎるが故に逃げ道などはない。


「衝撃に備えるぞ」


「はい」


 凜々花が抱き着いてきた。

 彼女を庇うため、抱きしめながら背中をゴブリンキングの方へと向ける。刹那、激しい爆風が俺の背中を襲う。熱は感じずとも衝撃波はモロに襲ってきているため、吹き飛ばないようにするのがやっとだ。


「……」


 衝撃波が止み、全身を包み込んでくれる暖かい温もりだけがボス部屋に残る。

 痛む身体に鞭を打ち、身体の向きをゴン太の方へと向ける。


「ごんた……」


 そこには倒れているゴン太と今まで見たことがない程巨大な魔石、そしてボス部屋の中央にある宝箱と魔法陣があった。


 慌ててゴン太の下へと駆け寄ろうとするが、身体が言うことを聞いてくれず、地面を這いながらゆっくりと近付くことしかできない。


「ごんた」


 ようやくゴン太の下へと駆け寄ることができた。

 優しく抱きかかえ、膝の上へと持ってくる。呼吸は正常だから、魔力切れによる気絶なはずだ。


「良かったゴン太。そしてありがとうゴン太……凜々花もありがとな」


「勝てて良かったです」


 沈黙がボス部屋に流れる。

 身体が怠くて動きたくない気持ちが強いが、早く帰るべきだな。


「帰ろうか……凜々花」


「はい、悟さん」


 宝箱の中身を取り出し、魔法陣の上に乗る。

 ダンジョン由来の魔力が魔法陣に流れ、眩い光を放つ。


 そんな光に包まれながら、俺たちはダンジョンを後にする。

 

 こんなことは二度と起こさないとゴン太に誓いながら、ダンジョンの入口へと転移した。


「……帰ろうか」


「……はい」


 ギルドに寄る元気はないため、後日ギルドに行く予定を立てた後、解散した。

 

 絶対にキャンプへ行こう。そう思いながら家路についた。


 ――【第1章 焔が輝く狐火】 完



これにて第1章完結となります。

【第2章 湧き上がる茶柱】もお楽しみください


作者からのお願いです。


ここまで読んで


・面白い

・続きが気になる

・ゴン太が可愛い


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