表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/125

第106話 ゴブリン勇者 3

 地面に叩きつけられていた柳生は、即座に立ち上がっていた。

 その立ち姿にダメージを受けている様子は見受けられないため、俺如きが心配する必要などなかったようだ。


「同族で殺し合いを行うとは……人と変わらないみたいだな」


 柳生が呟いたように、ゴブリン勇者の能力が急激に上昇した原因は、大量にいるゴブリンたちが殺し合いを始めたからだ。殺し合いと言っても、殺される側に抵抗は見られないため、同意の上で殺しているように思える。


 確かに人間も同種で殺し合いを行う場合があるが、死を受け入れて味方に殺されることは滅多にないだろうから、俺はゴブリンが人と変われないとは思えない。柳生の感想は、目が見えないからこその感想なのだろう。


 そして盲目であるからこそ、他の感覚が鋭くなっているのだろう。


「……」


 そして再びゴブリンたちの喧騒に掻き消されることのない鍔鳴りが、この十階層に響き渡った。


「そろそろ決着を付けるか」


 突風が吹き荒れる。

 柳生が移動する際は、俺たちを吹き飛ばすレベルの突風が発生することはこれまでの戦闘から分かり切っているため、麗華が事前に氷の壁を作ってくれていた。


 そのため吹き飛ばされる心配をすることなく、柳生の移動を観察することができた……まあ速すぎて観測できなかったけどな。


「グギャ」


「身体能力で俺に勝ったとしても、十全に扱えなければ意味ないバフだ」


 柳生に言われて俺も気付いたが、ゴブリン勇者の動きは何処かぎこちなかった。それは慣れない身体能力に、振り回されているということなのだろう。


「行き過ぎた力に、自分を振り回されるなど、バカでしかない」


 刹那、数多の斬撃がゴブリン勇者の身体に刻まれた。

 俺の目では、身体に刻まれた傷を見たことで、その斬撃を認識することしかできなかったが、スキルではなく刀を振るうことによって刻まれた傷だと確信している。

 そこには理由などなく、ただ培ってきた戦闘の勘がそう言っているからだ。


「グギャ!?」


「そろそろ終わりにしよう」


 その言葉を最期に、ゴブリン勇者の醜い鳴き声は聞こえなくなった。

 聞こえて来るのはリーダーを失い、軍隊のような規律が取れなくなり、ただ騒ぐことしかできないゴブリンたちの醜い鳴き声と、ゴブリン勇者の首から噴き出す血液の水音のみ。

 本来、魔物は致命傷を負ったら、直ぐに魔石に変わるはずなのだが、柳生の一撃はダンジョンに致命傷だと認識させないほど繊細な攻撃のようで、その後数秒間はゴブリン勇者の身体から血液が噴き出し続けていた。


「ほら、雪村。終わらせろ」


「お前に言われなくても、やってるぞ!!」


 再びモコモコの服を着ている男――雪村のテンションが最高潮まで至る。テンションが上がるのに比例して、彼から発せられる電撃も増えていく。

 リーダーであるゴブリン勇者を失ったゴブリンたちは、他のダンジョンのゴブリンと変わらない有象無象と化した。当然、人類最強クラスである【先駆者】の攻撃を耐えられるはずもなく、一瞬にして魔石となった。


「ふぅ、十分暴れられたから、後は頼む」


「えっ」


 先刻までの雪村とは打って変わって、麗華に負けず劣らずなダウナー気味のテンション。別人と言われたら、一切疑うことがない変貌っぷりだ。


「あの人の高火力は、テンションを代償にしてる」


「なるほど、あれだけの高火力をノーリスクで出せるわけがないか」


 一切の詠唱を必要とせず、エリザベスの魔法と同レベル……それ以上のエネルギーを生み出せたとしたら、エリザベスの立つ瀬がないだろうし、代償があるのは納得のことだ。


「では進むとするか」


 雪村がゴブリンを一掃したことにより、エリザベスを先頭に魔物の居なくなった十階層を進んで行く。時間が経てばゴブリンもリポップして来るだろうが、今は安全地帯と言っても過言ではない。


 後衛のエリザベス……力の全貌を知らないため、後衛と言い切るのは良くないかもしれないが、これまで見せた能力的に後衛であるエリザベスを先頭にしても心配の必要がないエリアということだ。


 そんなエリアに居続ける程、時間に猶予があるわけではないため、エリザベスを筆頭に【先駆者】たちは、この安全地帯を一瞬で駆け抜けて行く。

 俺たちはそんなエリザベスたちの背中を追うのがやっとで、先頭以上に体力を消費してしまった。


「はぁはぁ、ようやく十一階層に繋がる階段か」


「大丈夫?」


「ああ、何とか」


 呼吸が乱れているのは、俺だけのようだ。

 ゴン太たちも、凜々花も、まいちゃんだって呼吸が少々速くなっている程度で、俺以上に呼吸が乱れている者は居ない。


 常時前衛を務めて来た凜々花や獣であるゴン太たちに負けているのは納得がいくが、後衛で回復役(ヒーラー)であるまいちゃんにも負けるとは、プライドがへし折られた気がする……まあプライドが折られたところで、特に問題があるわけではないけどな。


「では先制攻撃をするか」


 十一階層に入るや否や、エリザベスは詠唱を始めた。



ゴブリン勇者が強化された力を十全に使いこなせた場合、柳生でも負けていた可能性が大いにあります。


ブックマークと★★★★★をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ