表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】お払い箱になった三流悪役令嬢はなぜか厄介な激重執着キャラに付きまとわれている  作者: スズイチ
―第二章―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/23

三流悪役令嬢の災難 1



「アルメリア」


 中庭の端っこで一人で昼食を食べていると、後ろからクライス様に抱きつかれる。


「ち、近いです! 離れてください!」

「そう? 残念」


 すぐに手をパッと上げると、私の隣に座ってくるクライス様。


「一人で食べるくらいなら俺と食べようよ。今度から声かけて? それとも俺が迎えに行こうか?あ、それいいね。そうしよう」


 にこにこと笑いながら勝手に決めるクライス様。何だか以前にも増して距離が近い。

 私が見ていると、こてんと首を傾ける。


「なぁに? どうしたの?」


 眩しいな……目が焼かれそう。なんだ、その顔。私が一般女子生徒なら焼かれて死んでたぞ。気をつけて欲しい。


「……勝手に決めないください。ちょっと、お花を摘みに行ってまいりますわ!」


 こうでも言わないと彼が付いてくるので、そう言ってクライス様から離れる。


「いってらっしゃい」


 手を振るクライス様に息を吐く。

 彼の距離がこれほどまでに近くなったのは、校外学習のとき以降だと思う。

 確かに死にかけのところを助けられたし、名前も呼び捨てになったし、前より仲良くはなったのかもしれないが、それにしても近すぎる。


 気軽に抱きついてくるようになったし、前のように一歩引いてる感がないというか……今のあの人なら、私が死にかけたら秒で助けに来てくれると思う。それくらいに変わったように見える。


「……何か、思うところでもあったのかしらね……」


 ため息を吐くと、さらりと葉っぱの揺れる音がして顔を上げる。


「……大きな木。そういえば、この木の側で主人公ヒロインが〝運命の指輪〟を拾うのでしたっけ?」


 懐かしくなって木に触れてみる。すると、足元で何かが光った。


「……なにかしら?」


 しゃがんでから、確認しようと手を伸ばすと、左手の薬指に何かが巻きついてくる。


「ひっ!?」


 ガチャン、という音と共に左指に嵌ったそれは、繊細な作りの美しい指輪だった。


「……なっ!? これは、いったい……」

『あはは! やーい! 引っ掛かってやんのー!』


 突如、指輪から声がする。


「は!? な、なに!?」


 指輪から、するりと半透明な何かが抜け出てくる。形状が変わると、それは精霊の形になった。


「……精霊? え……ていうことは、これは〝運命の指輪〟?」


 〝運命の指輪〟は、ゲームに出て来た特殊な指輪で、中に精霊が閉じ込められていてるのだが、助けてくれた主人公ヒロインを運命の相手へと導いてくれるのだ。

 ここが分岐点で、その後は事あるごとに精霊のサポートがあり、そのお陰で幸せなエンディングが迎えられる……はずなのだが……。


『なに、そのダッサイ名前。そんな名前じゃなくて、これは呪いの指輪』

「の、呪い!?」

『そう。一週間後以内に運命の相手を見付けて結ばれないと、指輪の中に仕込まれてる毒針で刺されて死んじゃうの! あははっ!』


 ……なに、そのクソアイテム。一週間後以内に運命の相手? 見つかるわけないでしょう、そんなもの!


「ふざけないでください!」


 指輪を抜こうとするが、微動だにしない。


「どうなっていますのよ!?」

『むりむり〜! 運命の相手見つけて結ばれないかぎり抜けないから~! あんた、一週間後には毒針に刺されて終わりだね〜! あはは!』


 私は精霊を掴もうと手を出すが、すり抜ける。


『それも、むり〜! オレは捕まらないよ〜だっ!』


 べーっと舌をだされると、あははと笑いながら指輪の中に戻って行った。


 ――なんなのよ、これ。


 最初は、素敵なキラキラ妖精の羽イベがグロい寄生生物イベになり、ちょっとえっちな触手イベが愉快な触手イベになり、今度は運命の指輪が呪いの指輪ってか!?


 いったい私、これからどうなっちゃうの――!? 


 胸の中で叫びながら、私は頭を抱えるのだった。

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ