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プロローグ

「……長かった。これでやっと自由だわ。」


人通りのない夜道に消える声は、安堵と解放感で弾んでいた。

19歳を迎えた今日、真夜中に教会へ向かい、神への宣誓を取り消した。本来なら、正式な手続きが必要な離婚を簡略化して行えたのは、幸運としか言いようがない。


「『3年お手付きが無ければ、片方のサインで離婚できる』なんて、この制度を作った人に感謝だわ。」


路地裏で、ゴソゴソと用意していた服へ着替える。


「こんな動きづらいドレス、売ってしまいましょう。」


名ばかりの元夫に用意して貰ったドレスは、どれも流行が過ぎていて、私への関心のなさが窺えた。

短く揃えた髪を揺らしローブを羽織って、少年のような格好になる。念の為と魔法で色を変えていた髪は、本来のライラック色に戻した。


長い時間かけて、用意していた荷物が入ったトランクを持ち、辻馬車へ乗り込む。予めどのルートを辿るかを決めていた私は、空を見上げて解放感に微笑む。


(さようなら。この国になんの思い入れも無いけれど、19年もいたんだもの。)


見慣れた景色に別れを告げ、新しい地へ思いを馳せる。顔も思い出せない元夫は、どんな反応をするのだろうと、驚いた顔を見ることが出来ない事だけが、ほんの少し心残りだった。

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