【短編】不幸少女
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寝ている間にLINEが届いていたようだ。
詳細には兄と書かれている。
「毎日懲りないなあ」
百音には年の離れた兄がいる。
兄は17歳の百音を過度に心配する。
仕事人間の母からは愛情をあまり受けなかった。それは兄も感じていたようで、妹の百音にまでそんな思いをして欲しくなかったから俗に言う″過保護″になったのだろうか。
[ おはよう百音。よく眠れたかな?昨日も言ったけどお兄ちゃんは今日から5日間また単身赴任です。
寂しかったら電話するんだよ。
母さんは引越しの準備できたみたいだから俺が帰ってきたと同時に職場の近くへ引っ越すことになったから、百音には沢山迷惑かけるけど、よろしく。]
長々とした文、私は最初の1行だけ読んでLINEを閉じた。
母さんは父と離婚した時から仕事へ没頭するようになった。あれは4歳のこと。私は幼いながら今の母は私のことなど考えられないほど追い詰められていると言う雰囲気がわかった。兄さんは当時12歳。
中学へ入学した兄さんは私とよく喋るようになった。
その前は話さなかったという訳では無いが、兄さんは同級生のお友達と遊んでいることが多くてあまり遊んでもらっていた印象はなかった。
顔を洗い、パンを焼き、着替えを済ませ、ネットサーフィン、メイクをする。
私の一日は始まった。
世間では父親が居らず、母は仕事人間、愛されていない子供と言われる。
そう思われるのが嫌な私は学校で幸せオーラ満開の俗に言うリア充でいる。彼氏も作った。優しくてイケメンな彼氏。
私は母さんが大好きだった。
父がいた時、母さんは毎日美味しい料理を作ってくれて、週末には甘いお菓子を焼いてくれた。
あんなに満たされた日々はもう戻ってこない。
学校では幸せ。
幸せだった。
彼氏が出来た時は幸せだった。
沢山尽くしてくれる彼氏。
沢山尽くしてくれた彼氏。
沢山尽くしてくれた彼氏は今も私と付き合っている
でも彼氏は他の子を見る。
私の父さんのように。
あんなに幸せだった家庭を壊した父さんは沢山のお金と離婚届だけ置いて他の子の元へ行った。
私は前世でなにかしでかしたのだろうか。
それともこれが運命なのだろうか。
まだ優しい兄に恵まれているだけ私の人生は地の底でない、いい人生なのだろうか。
そんなことを考えて一日を過ごす。
一日の終わりに私は
「今日こそは」
そう呟き私は自分で自分の首を締めながら眠りにつく。
[ おはよう百音。よく眠れたかな?]
呪いのように兄のLINEが私の生を刺激する
召されたくても″なにか″に守られているように上手くできない。地獄の日々を送る少女のお話
初心者です。お手柔らかに