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生態系最底辺の魔物に転生しましたが、平和な生活目指して全力で生き残ります 〜最弱の両生類、進化を続けて最強の龍神へと至る〜  作者: 青蛙
第三章・聖なる獣と邪なる龍の伝説

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不死の女冒険者、救出に向かう




◆◆◆◆◆◆



 一方、ニニィとラバルトの二人は亜人達の救出を行うために集まってきた人々のチームと合流していた。

 集まっている人々は、全員が冒険者か他国の軍人。強さはまちまちといったところだが、戦闘職としては充分な実力がある。ニニィの目にはそう写った。




「連れて来たぜ。ヒヒイロカネ等級のニニィ・エレオノーラだ」


「本当に雇えたのか……」

「どんな人脈してんだあの筋肉ダルマ」

「すげぇ。本物の、死ねずのニニィだ」

「うぉ……話には聞いてたが、滅茶苦茶美人だな」

「あいつ、本当に手伝ってくれるんだろうな」

「気味の悪いやつだな……」


 ラバルトが雑にそう紹介すると、ニニィの姿を目にした者から次々と声が漏れる。

 彼等の口ぶりから察するに、おそらく自分が本当に雇われてくれるとは思ってもいなかったのだろう。別に日頃の行いが悪かった覚えはないが、憶測や嫉妬からあることないこと噂されているのは自覚している。

 心の中でため息をつきながらも、一応自分からの挨拶も必要だろうと顔を上げ、彼等をぐるりと見回す。


「紹介に預かった、ヒヒイロカネ等級冒険者のニニィだ。宜しく頼む」


 返事は、無い。

 それぞれ、訝しげな視線を向けているか、呆けた表情で固まっているか。


 雰囲気が悪くなっているのを察したのか、ラバルトの奴が冷や汗を垂らしながら前へと出た。


「ま、まあ、悪いやつじゃねえ。むしろ色々と気を遣ってくれていいやつだ。噂なんてアテにならねえからよ、みんなも宜しく頼むぜ」


「あんたの言うとおりなら良いんだがな」


 一人の男がそう言いながら立ち上がった。

 おそらくは冒険者。首から下げられたタグは、彼が『竜鉄』等級の冒険者である事を示していた。


「俺はレジィ・キース。一応、この中じゃ一番強いって事になってる。ニニィさん、宜しくな」

「キース、キミは……竜鉄等級の冒険者のようだが。私を雇うことに賛成したと言うことは、キミほどの冒険者が居ても戦力に不安があるのか?」

「まあな。定かな情報じゃないが、奴らは何者かに雇われて活動してるって聞いてな。普段からそういう事をしてる奴らに依頼してまでやらせるなんて、明らかに怪しいと考えてな。用心棒の一人や二人、つけていてもおかしくないだろう」

「なるほど、そういう理由があったわけだ。だがそれなら安心してくれ。よほどの相手でなければ問題ない」


 自分の戦いの腕に自信はある。

 それこそ、一国の切り札クラスの使い手が相手でなければ、手古摺る事はまず無いと。


 これを話した時、自惚れだと笑った者も居たが、私としては本気でそう考えている。もう何十年も相手に手応えというものを感じていない。戦ったと感じた記憶はずっと昔、当時のヒヒイロカネ等級のとある冒険者が大量殺人で懸賞首になった時、そいつを殺しに行った時の事。


 そもそも冒険者のヒヒイロカネ等級というのは、通常は与えられることはない。実質的な冒険者の頂点はミスリル等級であり、ヒヒイロカネ等級などそれこそ一人で一国を滅ぼしうるほどの怪物に首輪をつけておくために与えられる称号のようなものだ。

 ヒヒイロカネ等級として有名になれば、下手な行動は取れなくなる。何処へ行ってもヒヒイロカネ等級の〇〇だというように見られるようになり、それこそ犯罪など犯そうものなら六大聖天クラスの猛者が集団で差し向けられる。流石に私も六大聖天全員を相手にするのはキツいものがある。


 まあ、それだけの戦力を一人に向ける事など、非常時だとしても滅多にない事だ。だから、今回のようなギャング相手であれば問題となる要素は微塵も無い。


 あとは、警戒を怠らずに丁寧に処理していくだけだ。


「なんか、やっぱおっかねえなアンタ」

「ンフフ、よく言われるよ」


 早いところ、拐われた三人を救出して依頼を完了し、セシルとあの子の元へ戻るとしよう。








 



 ラバルトの仲間たちによる追跡により、オラクルでのグリセントファミリーのアジトの場所は判明していた。

 今回拐われた三人も、おそらくはそこに囚われているのだろうと言うことで、私達は身を隠しながらその建物の入口付近まで来ていた。まあ当然と言うべきか、周囲は人通りも少ない。

 念の為、私達とは別に何人かの仲間がアジトの場所を囲うように待機し、ギャング共が逃げないように見張っている。


「いいか、作戦通りに行くぞ。まずは俺を含めた金等級以上の奴らで正面突破。ニニィさんは一人で行動しつつ囚われた三人の解放を。残りの奴らは数の有利を維持しつつ各個撃破。良いな?」


 作戦の指揮を務めるのはあの男、レジィ・キース。

 作戦の内容は作戦とも呼べないようなお粗末なものだとは感じたが、私を駒として動かすのならばこれぐらい雑な方が良いと考えたのだろうか。まあ私自身もわかりやすい方が好きだから、その考えは間違い無い。


「一応、リーダー格の男は捕まえたほうが良いか?」

「出来ればで構わない。最優先は拐われた三人の救出と保護だ」

「わかった。見つけられたら確保しておこう」


 いつものように土魔法で刀を生成し、手に持っておく。この作業も手慣れたものだ。昔は即席の武器など粗悪で使うには値しないなどと考えていた頃もあったが、連戦続きで手入れも出来ない環境であれば、その場で新品同然のものを量産できる魔法のなんと素晴らしい事か。



「では、行くぞ……突入!」


「「おおおおっっ!!」」


 レジィが先陣を切って扉を破壊して入っていくと同時に、ラバルトを含めた冒険者達が建物の内部へと雪崩込んでいく。


「っ!? なんだこいつら!」

「チッ、冒険者共か! 第一・ニ班の奴らは前に出ろ!迎え撃て!」


 中で待機していたグリセントファミリーの構成員達も、突如として扉を破壊して侵入してきた彼等に驚きつつも迎撃体制をとる。

 ほどなくして、先陣を切っていった冒険者達と彼等との激しい戦闘が始まり、私はその喧騒の間を縫うように歩いて建物の奥へと向かう。


「女ぁ! 逃さねえぞ!」


「おっと、命は大切にしたまえ。もう遅いがね」


 まだ此方に割ける戦力があったのか、一人の構成員の男が前に出てくる。

 いつもなら少し遊んでやる所だが、今回は真面目な仕事だ。前に出てきたその男が何か行動を起こす前に、先程生成したばかりの刀を一閃。


 ずるりと男の首に赤い亀裂が入り、水っぽい音を立てながら頭が落ちる。


「さて、どこに囚われているのかねえ」


 歩きながら風魔法を使い、建物内の空気の流れと温度を探る。

 それだけで、敵の居場所と拐われた三人が囚われた場所は大体を把握できる。


「ふぅん……こっちか」


 ひとつ上の2階。そこにどうやら隠し部屋を作っている。

 妙な場所に、無駄に戦力を配置していると思えば、隠し部屋を守るためらしい。


「馬鹿だねぇ。隠し部屋なのに、守る奴らが居ちゃあ部屋があると自分から伝えるようなものだ」


 二階へと上がり、狭い廊下を襲い来る構成員達を斬り殺しながら歩いていく。

 それなりに広い部屋に出れば、待機していた数十人ほどの構成員達が武器を構えてあらゆる方向からにじり寄ってくる。相手もこちらが何者なのか理解して、一対一では倒せないと理解したのだろう。


「君たちじゃあ、千人束になったって変わらないがね」


 だが、私とて歴戦の戦士である。

 こんな付け焼き刃に不覚を取られるほど甘くはない。


 刀をゆるりと構えつつ、無詠唱で風魔法【暴風裂空(トルネアード)】を発動。突如として建物内に真空の刃を含んだ暴風が吹き荒れ、対処できなかった構成員達の身体を細切れに切り刻んでいく。

 十数秒間の暴風の後、生きていられた構成員は僅か三人で、部屋は切り刻まれた構成員達の血肉のせいで酷い匂いになっていた。


「まだ生きてるねえ。真ん中に立ってるキミが、このグループのリーダーで間違いないのかな?」


「て、めぇ……化け物が」


 今の魔法で片腕を失っていたその男は、激痛に顔を歪めながらも懸命に片手剣を構えて立っている。最後尾に控えていた事や、他の構成員と比べていくらか技量が高いこと、今の反応からして彼がこのグループのリーダーで間違いないだろう。

 つまり、他の二人は余計な生き残りと言うことで――


「【鎌鼬(アラステーラ)】」


 左右に大きな真空の刃を一つずつ飛ばし、生き残りの身体を真っ二つにして処理をした。


「なっ!? ……は?」

「そおら、余所見はするな」

「……へ、あがあっ!?」


 間髪入れずに、絶句する男の片手剣を握り潰し、蹴りを入れて床に転がす。剣だったものを取り落とし、腹を押さえて呻く男を眺めながら軽く指を振って魔法を発動。

 光の輪が幾重にも重なり、男の身体を完全に拘束した。


「あ……ぎぃ、うう、ぅあ……」

「さて。キミには色々聞かなきゃあならない事があるけど、まずは拐った子達の居場所を話してもらおうかな」



【竜鉄】

 魔力による影響を非常に受けにくい稀有な金属。主に洞人族の国『ユミトモンテ』の鉱山で採掘されている。金よりも希少で、高値で取引される。魔力の影響を受けにくいという性質から、鎧や盾の表面コーティングに使用されたり、魔道具の最も重要な部分の保護をする部品に使用される。竜鉄と言う名は、竜種・龍種の魔物が高い耐魔力性を有している事から連想して名付けられた。




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