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界黎学園の365日  作者: 天馬光
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生い立ちとサダコ先生

 前の話でも言ったけど、私・岸川ゆかりは、正真正銘本物の幽霊。12歳ぐらいまでは元気が取り柄の小学生だったんだけど、突然白血病を患っちゃって、それからずっと入院生活を送ってたんだ。

 入院中は、クラスメートや親友がちょくちょく見舞いに来てくれて、それなりに楽しかったけど、やっぱり心のどこかで、


(もう1度学校に通って、みんなともっと楽しい日々を送りたい!)

 って、思う自分がいた。


 けど、そんなささやかな望みすら叶わず、誕生日を迎えた西暦2007年9月16日午前0時ちょうどに、私は家族に看取られて、僅か16年の生涯を閉じた…………


 そりゃ成仏できないでしょ! こっちは人生はおろか、恋も青春もロクにしてないのに、三途の川なんか渡れるかってーの!

 てなわけで、未練タラタラな私は、16歳になると同時に、晴れて浮遊霊デビューし、今に至るってわけ。


 ちなみに私が幽霊だと知っているのは、便宜上知っといた方がいいキキさんと先生達と、部活の助っ人とかで助けたりしたコウメイ達ほとんどのクラスメートだけ。

 というのも、入学する時に先生やこれから来るもう1人の先生の力で、幽体でも物に触れられるようにしてもらったついでに、余計なトラブル(ポルターガイストとか金縛りとか)を防ぐために、霊力を封じてもらったの。

 おかげで今のところ他のクラスメートや町の人から気付かれてない。ま、私としては、別に幽霊ってバレてもいいんだけどね。



 とまぁ、そんな感じで浮遊霊ライフを満喫している私は、墓参りから3日経ったこの日も、いつものように登校した。


 今日の1限目は現国。チャイムが鳴ってから数秒後、扉がガラガラと開き、入口から白いワンピースを着た女の人が、前髪をダランと垂らし、静かに入ってきた。

 この人がさっき言ってたもう1人の教師・井村(いむら)貞子(さだこ)先生。通称・サダコ先生。何から何まであのテレビから出てくる女の霊にそっくりな不気味な人だけど、本家と決定的に違うところがある。それは……


「起立……礼」


「おはようございます」


「着席」

 全員が席に着くと、サダコ先生は前髪を掻き上げ、


「…………はーい。みんなおっはよー! じゃ、授業始めるよー」

 と、元気いっぱい挨拶した。


「先生。もういいですって。その出オチ」


「えー。つれないなぁ。超ショック」

 そう。サダコ先生は底抜けに明るい。

 最初の頃は私も驚いたけど、話してみたら全く害のない人だってわかって、今じゃ幽霊の先輩である彼女をルドガー先生と同じぐらい敬い、頼りにしてる。

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