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界黎学園の365日  作者: 天馬光
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私について

 けど、世の中全部が全部パラダイスとは限らない。どんな環境でも、必ずと言っていいほど、嫌なことがある。私の場合それは、現実を突きつけられること。

 残念なことに、この日の放課後、私はそれと向き合わなくちゃいけなかった。


「ゆかり。支度は済んだかい?」

 支度をする私を先生が呼びに来る。


「あ、うん。いつもありがとね。先生」


「礼には及ばないよ」

 そう言った後、私は先生と一緒に空港へ向かい、生まれ故郷である日本へと飛び立った。



 数時間後。私達が訪れたのは、東大阪市内にある墓地。この日はお父さんとお母さんの命日なんだ。

 毎年この日になると、私は信頼できるルドガー先生とここに来て、お墓参りをする。

 先生からすれば、赤の他人の墓なのに、一緒についてきてくれるだけでなく、2人分の飛行機代まで出してくれている。ほんと、先生には頭が上がらないよ。


 そんな先生に見守られながら、私は親が眠る墓に水をかけて、花を入れ替えてから、線香を立て、


(お父さん。お母さん……ごめんなさい。私…………)

 と、心の中で言いながら、合掌した。

 こんな日に限って天気は最悪で、冷たい雨が容赦なく私と墓石に打ちつけてくる。

 『令和2年4月12日 享年50歳』と刻まれたお父さん達の墓諸共、私の心を覆い、沈めるように……


 もうわかったよね? 私にとって1番辛いことは、137年前に両親を病気で亡くしたことじゃない。両親や2つ下の妹を残して、早々と死んじゃったこと。それに尽きる。てことは、自ずとわかったんじゃない? 私が普通の人とどう違うのか。


「……ゆかり。そろそろ行こう。風邪ひくよ」


「……何言ってんの先生。ひくわけないじゃん。だって私……幽霊だよ?」

 そう言って、私は作り笑いを浮かべた。



 そう。この物語は、一度死んで幽霊になった私が、みんなと共に青春を謳歌するセカンドライフストーリー。なんたって私は、そのために幽霊になったんだからね………………

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