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界黎学園の365日  作者: 天馬光
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異種族達の学園

 そんな町の中心にあるのが、私が通っている界立界黎学園高等学校。ここには例の誘致で来たりした多種多様な種族の生徒達が通っている。

 界黎学園は自主性と個性を尊重する校風で、部活は体育会系、文化系、同好会合わせて30種類。服装や髪型も、天国や精霊の学校に倣って自由で、大半は私服で登校してる。もっとも私は、『やっぱ学校は制服でしょ』っていう固定観念もあってか、中学時代の制服で登校してるけど。



 っと、そんな話をしてる間に着いたね。私のクラス・3年B組に。


「おっはよー! みんなー」


「おはよう。ねぇ、ゆかり。昨日の奴見た?」


「見た見た。ミュミュの奴ナイスリアクションだったよね」

 基本的に、クラスメートとは仲がいい方だと思ってる。こうやって他愛ないことで盛り上がったり、悩みや恋の相談を受けたりするし、みんないい奴だよ。


 その中でも特にいい奴で気が合うのは、私の隣の席に座っているこの男子。


「おっはよー! コウメイ」


「あ、おはよう。岸川さん」

 その男子の名前は、安倍(あべ)光明(みつあき)。私とは1年の頃から一緒の親友で、この学校では数少ない人間。なんでも、先祖がかの有名な陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)らしくって、コウメイはその再来と称されるほど凄腕の陰陽師で、安倍家次期当主候補なんだって。

 ちなみにコウメイってのは、私が1年の時につけたあだ名で、『光明』を音読みにしたら『コウメイ』って読めるところからつけたの。


「ねぇ、コウメイ。キキさんを落ち着かせる式神とかない?」


「もしかして、また怒らせたの?」


「うん。ほんと、ちょーっと埃をたてただけでキーキー言ってさ。キキーモラだけに」


「それ、全然上手くないから。それに、そんな式神は存在しないし、仮にあったとしても出さないよ。悪いのは岸川さんの方だから」


「うー。ケチんぼー」

 なんて雑談をしてる間に、チャイムが鳴った。仕方ない。式神の件は諦めますか。



 席について間もなく、尖った耳をした金髪の先生が世界史の教科書を持って入ってきた。

 この先生が私達の担任・ルドガー=エルフィアス。エルフっていう精霊の一種が住む国・エルフィアから来た精霊で、私が1年の頃から担任をしている。

 常に生徒のことを第一に考えてくれてる教師の鑑みたいな人で、優しくてイケメンだから、生徒、特に女子からの人気がかなり高い。かく言う私も、そんな女子の1人なんだけどね。


「起立……礼」


「おはようございます」


「着席」

 学級委員兼生徒会副会長のケンタウロス・ユリウス=ケンタウロスの号令で、私達が挨拶すると、先生は授業を始めた。


 いつもと変わらない日常。当たり前のその光景に私は、


(ほんと。この学校に来てよかったぁ)

 と、しみじみ思う。


 言っとくけど、お世辞じゃないよ。この学校は冗談抜きですごく楽しい。ドラマで見るような性悪教師なんて1人もいないし、設備も充実してるし、何より生徒も先生も個性があって面白い。

 こんな学校が小学校の頃からあったらどんだけよかったか。それぐらいこの学校は私達生徒にとって、パラダイスそのものなんだ。少なくとも、私にとっては、ね。

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