第三章☆コーンフラワーブルー
第三章☆コーンフラワーブルー
「これは、コーンフラワーブルーサファイアだな」
お父さんが言った。美咲はきょとんとしてお父さんの顔を見た。
お祖母ちゃんの形見にもらってきたサファイアの指輪。
「どれ見せてみろ」
とお父さんがしばらくしげしげと見ていて、そしてそう結論づけた。
大人の指の第二関節と第三関節の幅のプラチナの台座に、大小のサファイアの花があしらってある。ペリドットの葉がそれに添えられていて、女性らしいデザインだ。
「コーンフラワーって何?」
「トウモロコシの粉」
「?」
「それから矢車菊」
「???」
「矢車菊の蒼がサファイアの最高級の色だと言われているんだ」
「しえー」
美咲は思いがけない事実にびっくりした。
お祖母ちゃん、なんでこんな高級品遺したの?!
「姉さんはルビーの指輪だったろ?」
「うん」
「狙ってたんだなぁ。それに遺産が入っただろうし」
「遺産?」
「うちにも少し入った」
「えー?じゃあ、お金持ちになったの?」
「さあな」
お父さんはお祖母ちゃんのことを大事に思っていたから胸中複雑だったのかもしれない。
美咲はおねだりして新しい服を買ってもらった。
美咲は金銭感覚が少し、ずれた。