リンラ
第1話
深夜の1時、紅のネオン街はまだ騒がしく、どこを見ても日本とは比べ物にならないくらい治安が悪い。どこが治安悪いかって、そりゃあ金髪のにいちゃんがうろうろしながら女にはなしかけて、そこら辺のお店に入るって感じのベタなものから、ガチの借金取りみたいな人が女数名を連れて車に乗せるっていうこともある。きっと売春だろう。俺は車のナンバーを素早く紙にメモすると、どこからか臭う肉まんの匂いにお腹を鳴らした。
「先輩、ここじゃないですか?」
後輩の吉岡に言われてはっとした。ここが目的のLUCOって店らしい。ピンク色のネオンで縁どりされた看板から見るに、建物の7階にあるらしい。
「海外来てまでガールズバーですか。」
「まぁいいじゃん。本社の方で全部金出してくれるんだし。そう思えば俺たち捜査一課も楽なもんだよ」
「先輩はポジティブですね」
エレベーターで7のボタンを押すと、直ぐに7階へ着いた。イメージとは裏腹に、白とピンク色だけの空間が、そこに広がった。出入口から男がでてきて、にやにやしながら俺たちとすれ違い、エレベーターに乗って行った。
「ありがとうございました!・・・・・・こんにちは!いらっしゃいませ、新規の方ですか?」
「あっいや、俺達は人を探してここに来たんだ。」
「え?あっ、、とりあえず中へどうぞ」
中に入ると、カウンターに案内された。深夜ということもあり、人はそこまで多くはない。カウンターに着くとお茶を出された。中国の独特のお茶の味が口の中に広がる。
「あの、すごく物知りで頭がキレる人がいるって聞いたんだけど、いますか?」
「それって....ちょっと待ってね」
女がスタッフルームに入ると、直ぐに黒髪ロングの女がでてきた。口は赤く、肌は雪のように白い。目は透き通るような黒だった。
「なにか私に用事ですか?」
「俺たち、日本で起きた事件を追ってここに来たんだ。」
「へぇ。わざわざ。どんな事件?」
「連続殺人事件さ」
女は目を開くと、不気味にニコッと笑って、こういった。
「私は凛よ。その話、詳しく聞かせてくれるかしら。」
「瀬尾伊緒だ。よろしく」
「吉岡颯太です。よろしくお願いします」
これが、俺達と凛との出会いだった。