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王たる力

「なーんか妙なんだよなぁ」

 城下町を歩きながら、シュンはひとり呟いた。


 さっきのネプトもそうだが、近頃、国民たちの忠誠心がすさまじい。たしかにそこそこの功績は収めたと自負しているが、それにしても尊敬されすぎである。


 人間たちも建国当初こそはシュンに懐疑的な表情を向けていた。が、いまではモンスター同様に従ってくれている。結果、元の人間世界に戻る者はほぼ皆無と言ってよい。


「ステータス・オープン」

 シュンは久々に、自身のステータスを開いてみた。

 

《職業


【国王】

 Lv.98  》


 やはりだ。

 職業が変更され、《国王》となっている。引きこもりのステータスはそのままに、さらに国王としての強さが上乗せされている。


「マジかよ……」

 知らず知らずのうちにシュンはひとりごちていた。

 引きこもりがレベル999を迎え、これ以上の成長はないと思っていた。だが、自分のステータスを見る限り、もっともっと強くなる可能性が高い。


 それだけじゃない。

 スキル一覧に、《支配力》なる項目が追加されている。引きこもり時代には絶対になかったスキルだ。


 ーーこいつのせいか。

 おそらく、部下を統治しやすくする効果でもあるのだろう。であれば、ネプトたち国民の異常な忠誠心にも納得がいく。


「…………」

 シュンはそっとステータスを閉じ、歩む速度を緩めた。


 支配力。

 一見して魅惑的なスキルではあるが、悪用するわけにはいかない。人間とモンスターが平和に共存できるようにするために、シュンは国を立ち上げたのだ。悪いようには使えない。初心を忘れないことだ。


 ーーん、待てよ。

 そこでシュンは疑問に突き当たった。


 俺に《支配力》があるのなら、セレスティアの父王ーー人間世界の国王にも同様のスキルがあるはずだ。そして国王のレベルも向こうのほうが圧倒的に高いはず。


 それなのに、なぜ人間たちはシュロン国に残るのか。人間世界の王に忠誠心はないのか。


「……よくわかんねえな」

 シュンは心を切り替え、次なる目的地に向けて歩き続けた。

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