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強くなりたい? なら引きこもろうぜ!

「え……」


 勇者と村人の戦い。

 その短い決着に、ロニンは驚きを禁じ得なかった。


 あの村人が通常ありえないステータスを持っていることはわかる。

 それはユグドラシル・デュアルを指二本で止めたことからもわかる。


 けれど。


 《勇者》だってただの雑魚ではない。

 いまは力及ばずであれど、いずれ魔王に匹敵する強さを持つであろうと予想されていた。


 なのに。


 そんな勇者を、村人は一瞬で倒してみせた。

 ひょっとしたら、魔王ですら不可能かもしれない離れ業を。


「気にすんな」


 シュンは顔をロニンに向けないまま、声だけをかけてきた。


「軽く気絶させただけだ。すぐ目ェ覚ますだろうよ」


「そ……そう……ですか」


 思いがけず敬語になってしまう。


 興味があった。

 村人の強さの理由を。

 そして願わくは、自分も彼のように強くなって、魔王の娘として恥ずかしくない存在になりたい。


 だから自然と、ロニンは村人に聞いていた。


「教えてください……どうしてお兄ちゃんは、そんなに強いんですか?」


 しかしながら、返ってきた答えは、あまりに予想外だった。


「んー? 簡単さ。ずっと引きこもってりゃいい」


「……え?」


「おまえも強くなりたいんなら、ずっとヒッキーしてようぜ。ビバ引きこもり」


「え……えっと……」


 ろくな返答が浮かばず、ロニンはしどろもどろになった。


 ふざけているのかと思った。

 魔王も勇者も、強くなるために日々自身を鍛えているというのに。


 ロニンは知っている。

 勇者に負けぬよう、毎日厳しい修行をしている父親を。


 ずっと引きこもっているだけで簡単に強くなれるほど、甘いわけがないのだ。


「なんだその顔。信じてねえな」


 シュンはむっとしたように顔を膨らますと、「ステータス・オープン・シェア」と唱えた。


 文末に「シェア」と添えると、他人に自身のステータスを開示できるようになるのである。


 そうして空中に浮かんだ文字列を見たとき、ロニンは目が飛び出るかと思った。



《HP 60008/60010

 MP 76690/76690


 物理攻撃力 80677

 物理防御力 79566

 魔法攻撃力 90007

 魔法防御力 88077

 俊敏性   70450


【職業】

 引きこもり Lv.999

【スキル】

 開示されていません 》

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