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引きこもりによる国作りへ!

 シュン一行いっこうは、転移の魔法を使用し、無事に新たな土地に足を踏み入れた。


 人類にとって未踏の無人島。そこがシュンの選んだ、新しい国の場所だ。もちろん田畑の開発はされていないが、天候も穏やかで、生き物が住むには心地よい。


 見渡すばかりに広がる草原。一行はそこにワープした。

 シュンが偵察したときには、すこし離れたところに小川が存在する。そこで魚を釣ることもできる。


 穏やかな温風が、大小さまざまな草を優しく揺らす。その暖かな風を身に受けながら、セレスティアは言った。


「……で、これからどうすんの?」

「決まってんだろ。飯を調達しながら家をつくってく」

「……家をつくるって……その資源と技術は?」

「ばかやろ。なんのためにおまえがいるんだ」

「えっ」

「金はあるんだろ? 王都から、資源と人材を調達してきてくれよ」

「あ、あんたっ……!」


 セレスティアはぎろっとシュンを睨んだ。これではヒモも良いところではないか。

 シュンは両手の平を合わせ、《お願い》のポーズを取った。


「頼むよ、な? これに関しちゃおまえしか頼れねえんだっての」


 セレスティアは大きく息を吐いた。

 ーー彼が私を連れてきたのはそういう理由もあったか。たしかに指導者たるもの、部下ひとりひとりの適正を見極めることも大切だが……。それに文明のレベルは人間のほうが上でもある。


 ふいに、セレスティアはモンスターたちの視線を感じた。

 獣型、虫型、さまざまな姿形をしたモンスターたちが、セレスティアに懇願の視線を向けてくる。そういえば魔王城の周辺には、オンボロの木造建築しかなかった。


「う……」

 正直、こういう目には弱かった。セレスティアは一歩後退し、観念して両手を振った。

「わかった、わかったわよ。建物は全部私たち人間が受け持つわ」

「やりぃ」

 シュンは嬉しそうに指をぱちんと鳴らした。


 そんな新・国王の腕を、ロニンは引っ張った。

「ねえお兄ちゃん、私たちは?」

「ん?」

 シュンは魔王を見下ろした。

 どういうわけか不満そうだ。モンスター側が役に立てないのがそんなに悔しいのか。


 シュンはぽんとロニンの頭に手を置き、モンスターたちを見渡しながら言った。

「おまえたちには土地の開墾をやってもらう。その後、農作物も作ってほしいんだが……できるか?」

「うん、できるよ!」

 嬉しそうに頷くロニン。


 モンスターたちは自給自足で作物を育て上げてきた。それくらい屁でもない。また植物型モンスターの力で、作物の成長を飛躍的に高めることもできる。そのへんは人間側よりも技術が高いといえるだろう。


「よっしゃ、決まりだな」

 シュンはぱちんと両手を叩いた。

「各自、作業に取りかかってくれ。今夜は新国の建国祝いで飲み会を開こうと思ってる。夜になったらまたここに集まってくれ」

「はい!」

 新・国王の指示に、国民たちは元気のよい返事をした。

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